スマホなしでは暮らせない中国:ネットサービス会社と決裁手段


 このシリーズでは、タクシーの配車アプリと自転車について過去取り上げたが、もう一回取り上げるとすると、ネットサービス会社と決裁手段である。簡単に下記のようにまとめてみた。


1. ネットサービス会社の定義


 ネット販売と言っても色々あるので、下記のように定義する。

 京東、天猫、1号店などのネット専門会社:各メーカーの商品を取り揃えている。

 餓了*(くち偏に馬)、大衆点評価等:外食産業の出前のアプリ(レストラン紹介もある)

 SUBWAY:麦当労等:直接消費者に販売する外食

 その他各メーカーのオンラインサイトや、カルフールなどのオフラインの会社がオンラインをするパターン等


2. ネットサービスを利用する際の条件


 中国で登録している携帯番号をそのネットサービス会社に登録することがほとんどである。

 携帯電話の番号は、身分証明書を提示して初めて登録できる。日本では、自動車の免許証と同じくらいの効力があると言ってもいいでしょう。

 登録後にサービスを利用する際にはする際には、パスワードの入力や、ショートメッセージなどでの暗証番号が必要である(オンラインサービスの会社によってセキュリティのハードルは異なる)

 また、携帯番号は、携帯電話で配達員が届け先に連絡する場合が多いので、携帯電話の登録と連絡先にする場合が多いのが現実である。


3. 支払いの決済手段


 ほとんどは支付宝、微信等を利用した決済手段。クレジットカードはあまり見かけない。

 そういう状況なので、外国人でも、支付宝、微信等を使いこなしている場合が多い。逆に使いこなせないと、赴任者及びその家族は、現地の生活から孤立してしまうことになる。


4. 銀行口座に紐づけされている支付宝、微信


 これらの支払い手段を選択するには、銀行口座と紐づけしている必要がある。中国銀行、中国工商銀行、中国農業銀行、招商銀行、中国建設銀行、交通銀行等。日本の金融機関は使えない。

 赴任者は会社で銀行口座を開設しているため、家族は、主人の銀行口座と紐づけするか、自分で別に銀行口座を開設して、利用している。

 一方で日本からの出張者は、支付宝や微信を使ったサービスをつかいたくても使えない声をよく聞く。

 中国の携帯番号の登録、パスポートを提示しての銀行口座を開設すれば、サービスが利用できるが、現実的には、出張者が支付宝や微信を使ったサービスを利用する人は限られると思われる。


 上記をまとめると、ネットサービスを利用すると、パスポート、携帯番号、住所、サービス利用履歴、など全て情報がつなげて、初めて成立することとなる。

 中国では日本と違い、ネットサービスを利用する際には個人情報はこのように当たり前のように使われていることになる。これらを気にしていると、中国の本当の状況がわからないこととなる。日本では個人情報保護法があるため、なかなかすべての情報を一元化できない。

 ただ、Lineがそのサービスを開始したようである。


5. Lineの日本での電子決済の状況


 現時点では、微信、支付宝が日本の3大銀行と支付宝が連携したという事実はない。

 ただしLineを使えば、銀行口座からの引き落とし等中国のようにサービスを利用できそうである。

 但しオンラインサイトでLineを使った決済、オフラインでQRコードを読み取っての支払い等サービスを利用できる範囲がかなり限定されているのは否定できない。

 中国の場合、クレジットカードの段階を通り越して、電子決済のサービスに移行したため、電子決済システムは非常に発達している。一方で日本では依然として、クレジット及び現金決済が主で、電子決済はまだ始まったばかりである。

 日本は中国の電子決済の段階まで上り詰めるためには、かなりの時間がかかると見込まれる。

 日本を拠点とする方(出張者含めて)が、中国でのビジネスを理解する(中国人の生活感、コミュニケーション手段等)上での障害となっているのは事実である。

 特に、中国のオンラインビジネスを理解するには、中国でビジネスを行うことは必要である。日本でいろいろ試して中国に進出することを検討していると、間違った考えに陥りやすい。それは、マーケティングの原理原則からも明らかである。

 ジェフリームーアーの「キャズム」の考え方を参考にすると、中国は電子決済のテクノロジーのライフサイクルはすでに、レイトマジョリティの段階に入っている。日本では、依然としてイノベーターか、アーリーアダプターの段階にある。よってマーケティングでの検証する内容が全く異なることになる)

 原理原則を踏まえ、この点を理解していけば、もう少し消費大国のステージに突入した中国を理解する糸口になるであろう。


廣田 廣達

廣田 廣達

■所属:
・王子ホールディングス(王子製紙グループ)の中国の子会社に出向。中国におけるマーケティングの担当。上海駐在。
■ライフワーク
日中及び日本アジアの違いに着目し、コミュニケーションの改善を通じて、ビジネスの発展に寄与するための講演活動を行う。
・講演実績:三菱総合研究所、日刊工業新聞社、桜美林大学、異文化コミュニケーション学会、スイングバイ株式会社、東京-上海ビジネスフォーラム、アジア経営研究会、人生繁盛会(道端康予主催)等
・異文化コミュニケーション学会役員・会員誌編集長

■強み:中国ビジネス全般・マーケティング・異文化マネジメント

■その他プロフィール:
中国系華人。神戸出身。神戸商科大学を卒業。

■ユニチャームで勤務:ベビー、フェミニン、大人用おむつの中国・アジア地域のマーケティングを担当。当時上海に通算で約3年駐在。

■㈱ベネッセコーポレーションで勤務:教育に関する海外展開のため中国事業の支援及びFSを担当。

■㈱新日本科学で勤務:世界的No.3の医薬品の前臨床、臨床試験を行う研究開発の会社(CRO)で中国の会社立ち上げ、中国を中心に合弁パートナーとの交渉を担当。中国以外ではカンボジアの事業、ブータンの事業等を支援。

SIETARのHP
http://www.sietar-japan.org/index.html


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