企業が購入者となる場合の増値税普通領収書の改革


 2017年5月19日に中国では「増値税の領収書発行に関する問題についての公告」(原文は「関于増値税発票開具有関問題的公告」。国家税務総局公告2017年第16号)が発布されました(2017年7月1日施行)。これはどういうものなのでしょうか。見ていきたいと思います。

 前提として、中国では物品を販売する際には増値税が、サービスの提供の際には営業税が賦課されてきました。しかし、営業税は徐々に増値税に統合されつつあります。

 そして、今回、企業が購入する場合の増値税には、納税者識別番号もしくは統一社会信用コードを領収書に記入しなければならないということになりました。



 これだけ聞くと、中国で企業相手に増値税の対象物を販売するのは大変になるという感想を持つかもしれませんが、そのような感想の一歩先について考察してみましょう。

 よく、「中国経済はもうすぐ崩壊する」という主張を見ますが、このような領収書に統一番号記入を求める制度があるという点で、中国経済はそんなに簡単には崩壊しないということが言えます。

 結局、企業が購入者になる場合のみとはいえ、このように租税の証拠に番号を振って管理するということは、「脱税がしにくい」ということでもあります。つまり、中国では政府視点から見ると、租税の取りっぱぐれが少なく、国家の収入が安定しているということです。

 企業視点では、増値税発生の際には、番号で管理をするようになったと覚えておけばいいのでしょうが、中国ビジネスを行う上では、中国経済なども関係してくるので、このような脱税がしにくくなっている=財政が安定しているというような視点も忘れないようにしておきたいものです。

【資料】増値税の領収書発行に関する問題についての公告(国家税務総局公告2017年第16号。翻訳の底本は、「国家税務総局 関于増値税発票開具有関問題的公告」(国家税務総局ホームページ)

 増値税に関する領収書の管理をさらに強化し、営業税を増値税へと移行する試行業務の順調な実施を保障し全面的に推進し、納税人の合法的権益を保護し、健康で公平的な納税環境にするために、増値税の領収書に関する問題につき以下のように公告する。

一、2017年7月から、購入者が企業で増値税を支払い、普通領収書の発行する場合、販売者は納税者識別番号もしくは統一社会信用コードを提供しなければならない。販売者がその増値税の普通領収書を発行する場合、「購入者の納税識別番号」の欄には購入者の納税者識別番号もしくは統一社会信用コードを記入しなければならない。この規定に適合しない場合には、租税証拠としてはならない。

本公告でいう企業は、会社、会社でない企業法人、企業の支店、個人独資企業、合作企業およびその他の企業を含むものとする。

二、販売者が増値税の領収書を発行する場合、領収書には実際に販売した内容について記載されていなければならず、購入者からの求めに応じて不実の内容を記してはならない。販売者は領収書を発行する場合、販売プラットホームシステムと増値税領収書発行システムを通して、関係情報を領収書に打ち込み、システムに入力した数字の内容と実際の取引が合っているか確認をし、もし合っていなければ直ちに販売システムの情報を修正しなければならない。

以上のように公告する。
国家税務総局
2017年5月19日

以上です。(執筆者:高橋 孝治)



高橋 孝治

高橋 孝治
http://ameblo.jp/takahashi-chinese-law/

法律諮詢師(中国政府認定法律コンサルタント)
日本文化大学卒業・学士(法学)。法政大学大学院修了・会計修士(MBA)。都内社労士事務所に勤務するも中国法の魅力にとりつかれ、勤務の傍ら放送大学大学院修了・修士(学術)研究領域:中国法。後に退職・渡中し、中国政法大学博士課程修了・法学博士。中国法研究の傍ら、中国法に関する執筆・講演などを行っている。特定社労士有資格者、行政書士有資格者、法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)。出演テレビ番組に「月曜から夜ふかし」、「一虎一席談(中国・香港で放送)」。著書に『ビジネスマンのための中国労働法』(単著・労働調査会、2015年)、『中国年鑑2016』(共著・中国研究所(編)、「治安・犯罪動向の章」担当。明石書店、2016年)ほか。「高橋孝治の中国法教室」を『時事速報(中華版)』(時事通信社)にて連載中。詳しくは「高橋孝治 中国」でWEBを検索!

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