就労許可制度の本丸は国外人材の確保とビッグデータの収集!


 今年の正月明けからですが、上場企業の日本本社から就労許可制度の変更についての問い合わせが相次ぎましたが、自分なりの情報収集をするためにも2月と4月には中国に出張し、政府関係者や大手企業の実情なども見て参りました。

 また、日本国内でも各地でこのテーマに関するセミナーが開催されていて複数出席しましたが、セミナーによっては、日本に長く住む中国の法律の専門家が、中国にいる友人に聞きかじった程度の話を並べるだけのお粗末なものもあったりしました。

 しかし、直近で参加した中国人弁護士の方のセミナーでは、実に事細かくタイムリーに分析をされていて、やはり中国の現場を知る中国人との情報ネットワークを持っておくべきだと改めて思いました。

 中国ビジネス異文化などと称して、昔の自分の体験談や、新聞の分析だけであたかも見てきたかのように話す「自称中国通」が増えていますが、

・事件は現場で起きている!
・私ごときもほんの一部の中国しか見えていませんが、まずは情報収集をして、推測を立てて、現場で検証する!

 少なくともグローバルを名乗る大企業の国際人事の方には最低限必要な行動だと私は思います。


就労許可の実際は?




 さて、本題に戻りますが、当初はこの就労許可の条件の厳格化を不安視していた企業の中には、ノーベル賞を受賞した人でもないと無理だと噂されていたA類の許可がすんなりおりたり、一方で蘇州の開発区では高卒は端から許可がおりなかったり、各社、各地、各人で事情は違っています。

 実際に、かねてから指摘していたアフリカ人などの不法就労を取り締まる側面を除けば、日本企業に限らず外国企業が中国で中国のために貢献してくれるならウェルカムと言うのが本音のようです。

 60点、85点と点数表ばかりが話題に上りましたが、役職、年収、あるいは指定業種の大企業と言うだけでフリーパスだったり、高卒の方でも技術者であれば問題ないケースなど、企業によって、また赴任する人材のよって違ってきています。

 自社の現地法人の中国人スタッフあるいは責任者が、何処の中国当局の誰とどのように深く付き合えているか? 収集できる情報量が多ければ、それだけリスクも減ると言えます。

 本来は、日本人の人事担当者も現地で常駐し、中国側の人事を取りまとめ、情報交換をするべきですが、意外にできていない大手企業も多いのでは?


HSKの点数も引き下げ?


 また、私ども語学研修会社に関係する中国語テストHSKの点数ですが、当初は5級以上で10点もあったものが、4月1日の正式な導入から5点に引き下げられました。

 漢字のわかる日本人にはハードルの低いテストですが、多分、その他の外国人からは難易度が高いのに点数配分が高すぎるとクレームでも着いたのでしょうか?

 もちろん、点数になるから語学を勉強するわけではなく、ミッションに応じて自己紹介だけで乗り切る人、日常生活を乗り切る人、あるいは中国語で中国人と渡り合える人と、それぞれに必要な語学力は用意すべきです。

 また、世界ランキング100位の大学の指標も撤廃、外国の有名大学と広き門に変更になり、中国らしいと言うべきか、半年間の試験的な実施の中で実際に出てきたトラブルを検証し、条件を緩和してきたようです。

 もちろん、その間の混乱で不許可や遅延など被害にあった企業もいますし、これから本格的に制度を運営していく中では、情報の統一や浸透がなされていないことによる混乱や不手際、運不運も発生するでしょう。


就労許可はマイナンバーの外国人就労者版か




 ただ冷静にこの政府の動きを見ていると、外国のどの企業にA類が何人、B類が何人と言った具合に、どこにどのような能力のある人がいるか把握できてしまうわけで、信用調査的な側面もあれば、日本でも導入されているマイナンバーの外国人就労者版ともいえるビッグデータへとつながる恐れがあります。

 ま、恐れたところでアメリカのCIAも同様、世界の大国の争いの中では「人の情報」は何よりも貴重。個人情報保護など吹っ飛んでしまいますね。更に外国国籍を持つ優秀な中国人の帰還も促す施策も組み込まれていて、中国の技術・情報武装が本格的に動き出したと言えます。

 アメリカでもシンガポールでも本来外国人就労者に対しては厳しい制度を設けているわけで、日本のほうが甘いようにも見えますが、グローバルとは無法地帯、次元を下げることと言って憚らない私ですが、武力だけが戦争ではない! 情報戦争はすでに始まっていると私は考えます。(執筆者:小川 善久)


小川 善久

小川 善久
http://www.kanwajuku.com/

株式会社漢和塾 代表取締役社長
大阪外国語大学(現大阪大学)ポルトガル・ブラジル語学科卒業後、株式会社リクルートに入社。10年前に初めて行った中国に刺激を受け,独学で中国語を始める。その後、語学研修会社に転職するも、「学問」と「ビジネススキル」の違いに疑問を感じ、2005年に株式会社漢和塾を設立。2008年には、自らが現場を体験、体感すべく、上海に現地法人を設立。
■事業内容:中国語企業研修/日本語研修/マネジメント研修/中国語教室事業(銀座で学ぶ中国語)/人材紹介事業(許可番号 13-1-302854)/翻訳・通訳・コンサルティング事業/海外事業(漢和塾・上海)
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