日本はなぜ日中間EC事業で伸びないのか


 初めまして。私は中国本社「杭州 J&C」、日本法人「株式会社C2Jジャパン」の代表取締役 CEOの呉 鉄氷と申します。弊社は日中間でインターネットビジネスをはじめる企業の方々をサポートする事業を行っています。

 私が日中間のEコマース事業をはじめてから、既に11年が経ちました。今まで多くの日中双方の企業のお手伝いをしてきたので、ECについてはある程度心得ているつもりです。

 そこで、この場をお借りしてEC事業についてのノウハウをご紹介していこうと思います。


成長し続ける中国のネットショッピングビジネス




 近年の中国では、安心安全で高品質な外国の製品が著しく売れています。しかし、一般的な中国製品よりも値が張る外国の製品を置いているスーパーは未だあまり多くないのが現状です。

 そこで火がついたのが誰でもスマホ1つで海外商品を購入できるネットショッピングです。

 スーパーで売ってない商品が外に出かけなくても自宅で待っているだけで手に入ってしまう、この手軽さが中国人に受けたようで、ECビジネス市場は中国でどんどん成長していきました。

 現在、中国で最も大きなネットショッピングサイトは、アリババ集団の「天猫」と京東集団の「京東」の2サイトです。この2サイトの取引額はEC市場全体の約8割を占めるほどに成長しました。


中国市場で伸び悩む日本企業




 日本企業にとって中国消費者にむけたネット販売を行うことは、中国で法人を設けずに販売活動を行えるので手が出しやすい事業の1つです。

 それに加え、中国は壮大なECビジネス市場をもっているため、日本企業が出店したがるのは火をみるよりも明らかでした。そこで、多くの日本企業は中国大手ネットショッピングサイトで、且つ海外展開をしている天猫グループである「天猫国際」や京東グループの「京東全球購」に進出し始めました。

 しかしながら、大手サイトに出店したからといって商品が必ず売れるというわけではなかったのです。

 なぜなら、中国では「二八定律」という、「2割の商品が8割の売り上げを占める」現象が起きているからです。これを日本では「パレートの法則」と呼びます。

 商品の生産国や地域によって多少の差はありますが、日本の商品は特にその傾向が強いです。

 主要メーカーのおむつ、化粧品や食品など一部のブランド力のある商品に人気が集中してしまうため、日本企業は爆買いされる商品に絞って販売する傾向にあります。

 そして、中国市場における宣伝方法を熟知していないために、認知度の低い商品は積極的に売り込もうとしません。その結果、日本企業は8割の商品の売り上げに伸び悩むという、パレートの法則に嵌ってしまっているのが現状です。


日本企業の解決策(1) 自国ブランドの過信をやめる




 では、どのようにすれば日本企業は中国市場で売り上げを伸ばせるのでしょうか。

 中国で商品を売るには、認知度、つまりブランドを構築することが何よりも重要です。

 日本企業は日本での知名度を過信し、中国でも同等の知名度を獲得していると思い込んでいる傾向があります。故に、日本企業は中国市場においてもっと地道なPR活動を行っていく必要があります。

 PR活動のツールとしては、中国では微博(ウェイボー)や微信(ウェイシン)といったSNSがよく活用されています。

 最近では網紅(ワンホン)という、生放送で動画を発信することでネットユーザーと交流ができるSNSサイトの人気が上昇しています。

 日本だとニコニコ動画に近いSNSサイトですが、網紅は2015年度の流行語ランキングトップテンにランクインするほどの人気を誇り、認知度は高まる一方です。現在では多くの企業がオンラインマーケティングを行う場として活用しています。

 日本ではまだこのような方法での宣伝活動が一般的ではないですが、中国市場に進出するなら必須でしょう。また、百度(BAIDU)といった検索エンジンサイトで自社サイトが検索結果の上位に表示されるような工夫も必要でしょう。


日本企業の解決策(2) 「適切」な人材確保




 第二の解決策としては、適切な人材を確保することが挙げられます。

 ここでいう適切な人材とは、日中双方のEC市場を理解している人のことを指しています。日中間ECビジネス事業において、適切な人材を確保することは容易ではありません。中国のECビジネス市場は近年急成長したため、市場を熟知している人はそう多くないのです。

 それらの限られた人材の中から、日本のEC市場をも熟知している人材を探すことはなおさら難しいでしょう。

 これまで日中の大手IT企業が連携した事例はありましたが、失敗に終わったケースをみると、原因は適切な人材を確保できず、双方の思惑が一致しなかったことにあるようです


まとめ


 今回は、日本企業が中国市場に参入するにあたってブランディングと日中双方を知る人材の確保が何より大切であるということをお話ししました。

 EC事業はトレンドの流れが激しいビジネスでもあります。中国の EC 市場も急速に拡大し、絶えず変化しています。ビジネスチャンスをつかむには、今すぐ行動を起こすことが重要でしょう。

 その際には、常に最新の情報をチェックすることは元より、上記で挙げた日本企業の失敗から学び、成功に結びつけることが鍵となるのではないでしょうか。(執筆者:呉 鉄氷)


呉 鉄氷

呉 鉄氷
http://www.c2j.co.jp

杭州傑恩西網絡技術有限公司(中国本社) 、株式会社C2Jジャパン(日本支社)
代表取締役社長
1980年中国浙江省生まれ。アリババグループ対日貿易部に10年間在職。2013年3月に独立し、日中間規模最大のB2B電子商取引プラットフォーム「C2J.jp」を創立。アリババグループ在職中には、サイト運営、マーケティング、企画業務に従事。リーダーとして営業業務も経験。中国電子商取引の領域において幅広い人脈を持ち、中国中小企業の需要も熟知している。中国市場は目まぐるしい発展を遂げているが、その中で最も注目を浴びているのが、電子商取引。C2Jジャパンは電子商取引における日中間ビジネスや日中相互進出を支援している。2016年8月、天猫国際「ponparemall海外旗艦店」の運営代行を開始 。

著書
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