日本人がランク分けされる!? ~外国人就業者分類管理制度(外国人格付制度)と中国駐在員に対する影響~


中国現場コラムvol. 171 日本人がランク分けされる!?~外国人就業者分類管理制度(外国人格付制度)と中国人駐在員に対する影響~




 2017年4月1日より、外国人就業者(駐在員)をA類・B類・C類の3種類にランク分け・分類化することで、管理対象とする制度が正式に開始されます(ただし、上海・広東・北京・天津・河北・安徽・山東・四川・雲南・寧夏等の都市では先行して「試行」開始されています。また、2017年3月末まで、上海では旧制度・新制度の何れでも申請が可能となっている模様です)。外国人就業者の格付制度です。

 当該外国人就業者(駐在員)が、C類に分類される場合には、そもそも就業許可の発給が制限される恐れがあるほか、B類以下に分類される場合には60歳超の方には就業許可が発給されない恐れがあります


1. 外国人就業者のA類・B類・C類とは?




 中国において、外国人就業者(駐在員)が3種類にランク分け・分類化されることとなります。

(1) A類(ハイレベル人材=中国政府が居住を奨励する人材):85点~120点獲得者

(2) B類(外国専門人材=中国政府が居住を制限する人材):60点~84点獲得者

(3) C類(外国一般人材=中国政府が居住を認めない恐れがある人材):0点~59点獲得者

 この点数は、
①中国国内での年間給与がいくらか
②学歴・資格
③実務経験年数
④中国国内での年間勤務月数
⑤中国語能力(HSK漢語水平考試の級)
⑥勤務地域(中国が発展させたい地域で働くか)
⑦年齢
⑧世界的に著名な大学を卒業しているか、世界的に著名な企業(世界500強企業)で勤務した経験があるか
⑨地方経済の発展に特に必要とされる人材か
という合計9項目の総合点により判断されることとなります。


2. A類・B類・C類とランク分け・分類化されるとどうなるか?




(1) A類(ハイレベル人材=中国政府が居住を奨励する人材)


 A類(ハイレベル人材)とランクされると、当然のことながら、中国での就業許可は問題なく発給されるばかりでなく、就業許可申請がオンライン申請で済み、また申請審査時間が短縮化されるなど、審査手続面での優遇があります。

 60歳超になっても、就業許可が発給されることとなります。そもそも、A類にランクされる外国人は、中国政府が、中国への居住を奨励する人材だからです。

(2) B類(外国専門人材=中国政府が居住を制限する人材)


 B類(外国専門人材)にランクされる外国人は、中国国内市場の需給・発展に応じて増減させていく人材のことで、中国への居住が制御されることとなります。

 B類にランクされる外国人は、A類にランクされる外国人とは異なり、その時々の中国政府・中国地方政府の政策に大きな影響を受けることとなります。また、B類以下にランクされた場合、60歳超の外国人には就業許可が発給されない恐れもあります。

 日系企業としては、自社の駐在員は、B類以上にランクされ得る方の中から選ぶべきこととなります。

 現行の日系企業の駐在員は、このB類にランクされる方が多いと思われますが、万が一、C類にランクされた場合には、就業許可の延長が認められない恐れがあります。

(3) C類(外国一般人材=中国政府が居住を認めない恐れがある人材)


 C類(外国一般人材)にランクされる外国人は、国家政策に基づきながら厳格に居住が制限されることとなります。

①中国国内の一般労働者の雇用を守るため
②一部地域おける不法滞在・不良外国人を抑制するため

という理由により、C類にランクされる外国人には、就業許可が下りない恐れがあるため、注意が必要です。


3. 日系企業としての対応策


 日系企業としては、今後、自社の駐在員は、B類以上にランクされ得る方の中から選ぶべきこととなります。

 ここで問題となり得るのは、日系企業に多い、技術者・シニア層が今後、就業許可が発給されるかどうかです。

 上述の通り、A類か、B類か、C類かは、合計9項目の総合点により判断されることとなりますが、技術者やシニア層の中には、C類にランクされる方々が多く発生しそうなことが問題となります

 高給ではなく、大学卒以上の学歴ではなく、中国語は話せず、年齢も高い場合には、B類以上にランクされることはかなり難しいこととなります。


ランクを上げられるか?




 一旦、C類にランクされた場合でも、就業許可さえ発行されたならば、就業許可期間(多くは1年)内に、合計9項目の総合点を上げることで次の就業許可申請の際、B類にランクされることも理論上は可能です。

 しかし、①中国での年間給与は急には上がらないでしょうし、②学歴が替わることもなかなかないでしょう。

 また、③実務経験年数、④中国国内での年間勤務月数、⑥勤務地域が西部地域・東北地区等の旧工業地区・中部地区の国家レベルの貧困県等の特別地区に換わることも、⑧急に世界的に著名な大学を卒業したり、世界的に著名な企業で勤務したりする経験が出来たり、⑨急に地方経済の発展に特に必要とされる人材となることも、なかなかないと思われます。

 ⑦年は取るばかりゆえ、むしろ点数は悪くなります。あり得るとしても、⑤中国語を一生懸命勉強して、HSK(漢語水平考試)の級を取ることぐらいで、ランクを上げることはかなり困難と言えます。

 B類をA類にランクアップする身近なポイントとしても、⑤中国語の能力アップが考えられます。ただし、60歳以上となると、⑦年齢ポイントがゼロとなるため、A類にランクされることは困難です。

 この点、現行の実務運用では、60才以上の場合でも、中国現地法人の総経理・法定代表人等に就任する場合は、就業許可の発給が認められるケースが比較的多いもののが、今後の実務運用に注視が必要です。
  
 しかしながら、中国の政策実現にありがちですが、こういった法令は、法令どおりに一気に実務上施行されることなく、実務の反応を見ながら、各地域で“実験”が行われることが想定されます。実際の実務運用の内容は、今後の状況・推移を見守る必要があります。

以 上(執筆者:奥北 秀嗣)


奥北 秀嗣

奥北 秀嗣

公認内部監査人
1996年早稲田大学教育学部教育学科社会教育学専攻卒業、2001年早稲田大学大学院法学研究科民事法学専攻修了(法学修士)。2009年中国北京にある中国政法大学大学院に留学し民商法を研究すると同時に、中国現地各有名弁護士事務所にて中国法務・労務を中心とした実務研修を行う。
【著書】
◾︎『中国のビジネス実務 人事労務の現場ワザ Q&A100』(共著、第一法規、2010年)
◾︎『中国のビジネス実務 債権管理・保全・回収 Q&A100』(共著、第一法規、2010年)他。
【論文】
◾︎「中国で債権回収に手こずる~現場からみた注意点(合弁、独資別)~」(中央経済社『ビジネス法務 2011年10月号』)
◾︎「中国ビジネス 現場で役立つ実務Q&A」(第一法規『会社法務A2Z』2012年1月号より連載中)
◾︎「中国から”上手”に撤退する方法」(中央経済社『ビジネス法務 2013年6月号』)
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著書


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