中国人経営者の90後世代社員に対する対応事例


 最近中国に出張し、会社の経営者とコミュニケーションする機会が増えた。特に卸店、小売店のトップとの会話である。その中である東北地方の40代の経営者が述べていた中国の若い世代(90後=1990年代に生まれた世代のこと)についての内容について簡単に述べたい。

 中国の経営者でも、中国の若者に対する待遇を悩んでいるとのこと。現象面では例えば下記のような経営課題を述べていた。

(1) 会社に対する信頼感の醸成。
(2) 給与金額の妥当性(すぐに給与水準を上げないと、他社に転職される可能性がある。)
(3) 社員教育

 上記の悩みは、日本企業が中国進出した際に、悩んでいる項目と共通である。

 だから、日本企業の方は、中国進出の際に、特別に劣等感を持つ必要はないことを申し上げたい。その上で、ある中国人の経営者が若者の扱いを悩みつつも、下記のような方向性で解決を試みている。



(1) 会社に対する信頼感の醸成。


 例示:社員旅行、運動会、営業員であれば歩合制給与への移行、成果主義のような評価基準の明確化と同時に、目標の提示による日頃のコミュニケーション

 日系企業は、経営目標を経営者層で掲げるだけで終わっているパターンがあるが、この企業では、企業目標を徹底的に理解させるために、説明責任を果たしていると言っていた。


(2) 給与金額の妥当性(すぐに給与水準を上げないと、他社に転職される可能性がある。)


 この内容は結果的に、社員のパフォーマンス評価とリンクしているので、正しく評価をすれば、すぐに離職ということにはつながらないと言っていた。(大学卒業生は、企業側からすれば買い手市場なので、大学生が余っている。よって給与金額をすぐに上げる採用環境ではないと言及)

 むしろ給与ではない部分でのフォローが必要とのことであった。(マズローが晩年言っていた5段階欲求説の逆パターンとしての自己実現価値)


(3) 社員教育



 この内容は意外に受け止める友人をたくさん知っているが、日本企業は一般的に中国での社員教育を手厚くしている事例をあまり多く聞きません。

 専門職教育、会社のDNA移植教育、階層別教育など日本と違い、中国の場合は、部門別に採用することが通例なので、もっと即戦力のために教育をしてもいいと言っていました。そして、やる気のある姿勢を会社として一般社員のニーズを受け止められれば、離職率が低くなると言っていた。

 こういう話をすると、周りの方から「中国に重点投資をしたい」という方は多くいます。

 言論NPOの第10回世論調査からもわかるように、日本人一般的にはメディアの情報をうのみにしてしまう傾向あるので、メディアのネガティブ情報=中国と思っている傾向がある。中国での経営は難しいと思いがちである。

 一方鳥の目(マクロ的な視点)で中国を見渡すと、中国の環境は日本企業だけではなく、中国企業も悩んでいるのがわかる。違う言い方をすると、原理原則通り経営を行い、投資をすれば、中国での成果を上げることができるという意味としても捉えることができる。

 参考までに、筆者が捉えている最近の90後のイメージです。

・ネット好き。情報は積極的にネットで収集し、取捨選択している。(微信含む)
・日本の製品に対する信頼感はあるが、無条件に信頼はしていない。
・お金遣いはあらい(年2-3回海外旅行当たり前、1家1台の車の存在)
・ほぼ毎週家族や友人と外食している。
・昔の中国の苦労を知らない(配給制、社会主義的な制度)
・財布よりもスマホ(タクシー支払い、レストランでの支払い、エアーチケット予約等スマホで完了できる)
・人間関係は昔の人間と相対比較で希薄(日本もそうですが)
・結婚のためには、家を持っている人(またはそれだけの財力のある人)を結婚相手に選びたい
・新しいものはいつでもトライアルする(でもよく目移りする)

 上記の内容は、地域、おかれている経営環境にもよる。多くの方の参考になれば幸いです。(執筆者:廣田(李) 廣達)


廣田(李) 廣達

廣田(李) 廣達
http://ameblo.jp/sumomohiro/

■所属:
・王子マネジメントオフィス㈱(王子HDの企画部門の会社)に勤務、アジア圏の新規事業等企画担当。アジア圏進出を重点に新規の事業をマーケティングを軸に企画。中国、マレーシア、インドネシア等の現地法人立ち上げの支援をしている。
■ライフワーク
日中、日本アジアの違いに着目し、コミュニケーションの改善を通じて、ビジネスの発展に寄与するための講演活動を行う。
・講演実績:三菱総合研究所、日刊工業新聞社、桜美林大学、異文化コミュニケーション学会、スイングバイ株式会社、東京-上海ビジネスフォーラム、アジア経営研究会、人生繁盛会(道端康代主催)等
・異文化コミュニケーション学会役員・会員誌編集長
・その他:日印協会会員、日本インドネシア協会会員

■強み:中国ビジネス全般・マーケティング・異文化マネジメント
■その他プロフィール:
中国系の華僑(華人)3世。神戸出身。神戸商科大学を卒業後、ユニチャームに就職しベビー、フェミニン、大人用おむつの中国・アジア地域を担当で、商品企画、リサーチ業務参入戦略構築。中国現地法人初ブランドマネージャとして合計上海に3年駐在し、社内の各部門を統括。
■㈱ベネッセコーポレーションで、教育に関する海外展開のため中国事業の支援及びFSを担当。中国におけるビジネス日本語事業、英語事業の中国事業支援、通信教育教材の支援等を担当。
■㈱新日本科学にて、世界的No.3の医薬品の前臨床、臨床試験を行う研究開発の会社(CRO)で中国の会社立ち上げ、中国を中心に合弁パートナーとの交渉を担当。中国以外ではカンボジアの事業、ブータンの事業等を支援。
SIETARのHP
http://www.sietar-japan.org/index.html


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著書
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