もう放置できない! 日本を覆う「反中」感情のメカニズムを断て


Q.ニイハオ! 来日20年目になる中国人です。小さな公民館で中国語を教えています。ドラゴンさんは、日本人の対中国感情が最悪って知ってましたか?

 「中国も中国人も嫌いになった。もう中国語なんて習わない」こう言い残して、おじいちゃん受講者がレッスンに来なくなりました。どうしたらいいの? 私も日本人が嫌いになりそう。(街中の中国語講師女性40歳)

 全国二千万の中国ビジネスヘッドライン愛読者の皆様猛暑お見舞い申し上げます。今日も明るく楽しく、皆様のお悩み事に切り込んでいきましょう。

 まあ、なんと。メデイアによれば日本人の8割以上が「中国・中国人に親近感を抱かない」そうで、この割合は戦後最悪だそうです。



 この≪反中感情≫が今回のコラムの中心テーマなのだが、ちょっと「寄り道」してみませんか。

 当該コラムの愛読者のみなさん、日本で中国語を一番「熱心に学習している」グループとは年代的にどのような人たちか?ご存じでしょうか?

 20代?

 30代?

 正解を言う前に、またまた脱線。ドラゴンならが時々出かけるタイランドの状況を紹介しておきます。

 タイでは中国語フィーバーともいうべき様相になってます。バンコク市内ではタクシーに乗っても、ホテルのフロントでも「東洋人らしい」顔つきの人間を見かけたら「にいはお! やおぶやお ばんまん? 你好需要帮忙?」と中国語が飛んできます。

 吾輩思わず中国語で対応してしまって、しばらく話した後に「いや、ぼく日本人なんですけど」などと身分を明かそうものなら旅券の提示をもとめられたり。まるで不審者扱いです。(閑話休題)

 おっと、中国語講座ですね。

 実は我が国の「中国語講座を支える」主力グループとは70代。すくなくとも定年退職後の悠悠自適世代なのです。

 今回相談してくれた中国語講師さんにしてみればおじいさんが「もう来ない」などといいだしたとすれば、これは教室の屋台骨を揺るがしかねないきわめて深刻な問題だ、ということが読者各位にもご理解いただけたかと。

 では、「日本人は中国きらい」というハナシは実際のところ、どういうことなのだろう?


消えた中国人留学生の行く先


 ここ(中国ビジネスヘッドライン)に集まるのは、我が国でも選りすぐりの知性と国際性を兼ね備えた方ばかりなので「日本人の対中国感情が最悪」などという報道にも動ずることはないでしょう。

 しかし、巷(ちまた)で実際に発生している「対中国悪感情」発生のメカニズムというものは、ご理解いただきたいと思います。今回とりあげるのは吾輩ドラゴンが過去のコラムでも指摘した件です。

 「コンビニから中国人留学生が消えた」ことは日々の生活の中で実感されていることと思う。

 結論から先に行ってしまえば彼・彼女たちは消えたのではなくドラッグストアに移籍していったのだ



 その理由は?

 コンビニでは自給900円(千円超えることはない)。これとて無制限に勤務できるわけではない。入管では留学生のバイト(資格外活動)は一週間28時間以内(つまり4時間×7日分)と定めている。つまりコンビニで仕事するなら「目いっぱい仕事しても」留学生は週に3万円も稼げない、ということである。

 ちと、想像力を働かせていただきたい。もし、あなたの息子さんや娘さんが外国で毎日4時間もバイトしてやっと生活していると知ったら悲しくないですか? 吾輩はときどきセミナーや中国語のレッスンでこんな話題をだしてコンビニで働く留学生の実情を訴えてきたところである。

 片やドラッグストアでは時給1200-1500円。留学生がそろってドラッグストアに移って行ったのは当然である。

 「留学生たちにはやっと喜ばしい時代にやっとなったのか。」こう思って吾輩的には留学生のために喜んでいたのだが、事態は意外な方向へ向かいだしていたのだった。


中国人学生に嫉妬する日本人




 場所は、ある大阪市内のコンビニ店。その50メートル先にドラッグストアがあった、と思っていただきたい。この店でもう3年ほど働く日本人(30代、仮にT君。)は、いつしか「反中シンパ」に共鳴するようになったという。

 理由は「二か月ほど一緒にバイトした中国人学生バイトのチョウ(仮名)をドラッグストアで見かけたから」

「チョウにはいろいろ仕事のことは教えてやったのに。なんの挨拶もなしにドラッグストアへ移って行った。その店には店員募集の張り紙掛ってて、中国語できたら自給1400円やって。つまり自分はずっと自給1000円弱(夜勤は手当てがつく)のまま。チョウは中国語できるから時給1400円?」

 怒りに目を吊り上げてT君の証言は続く。

「もうメチャ気分悪くて、それ以来ネットで中国嫌いの記事探していつも読むようになった。」

 このコラムをここまで書きながら、実はもうコラムニスト本人(つまりドラゴン)が「やりきれない」想いに押しつぶされそうになってきた。

 ちょっと「おさらい」してみよう。

 留学生チョウはしょせん週に最大28時間しか稼げないのだ。T君は「無制限に働けるし、転職も自由」T君の近視眼的世界観を批判するのはたやすい話だ。しかし日本人(庶民)の生活実感は、実はここまで「追い詰められて」いるのである


「反中」の仮面をつけた別の問題




 つまり「反中」の真の顔は「国民の低所得」だったのだ。

 原因がわかれば対策もおのずと見えてくるもの。そもそも、我が国国家予算は92兆円。そのうち国債利払いと社会保障費でなんと45兆円。会社も国民も余裕ないのは「無理からぬはなし」である。

 「よっしゃ」45兆円稼ぎだしてやろうじゃないの。これで文句はないでしょう。吾輩こんな思いで日々インバウンド事業に取り組んでいる次第です。(執筆者:楢崎 宣夫)


楢崎 宣夫

楢崎 宣夫
http://chinpunkanpun-school.com/

売上三割増をめざす中国語研究会 代表
1957年大阪生まれ。
1980年 東京農業大学農学部卒。同時に大阪の食品メーカー就職。

1988年工場勤務を経て海外事業(中国原料開発・タイランド工場建設)に参画。同時に業務外で中国残留婦人帰国を実現する市民の会に参加。
1990年中国人帰国者の就業・生活支援を通じて中国語をブラッシュ・アップ。

1995年 阪神大震災を機に社内プロジェクト高齢者食材チームを立ち上げる。

2004年 中国山東省新会社設立プロジェクトに志願して山東省石島に進出。JUSCO YOKADOなどで試食販売を自ら実施。営業活動を展開。中国でモノを実際に売った数少ない日本人と自負。販売中「日本語うまいヒトがいる」と多数の日本人観光客から賞賛を浴びた(?)

2010年 家族の介護のため帰国。

2011年 大阪で、売上三割増を目指す中国語研究会・中国語講座「チンプンカンプン」を開講。
インバウンド取り込みをはかる商店主やショップ店員にゼロからスタートする中国語を指導する。中国語は三カ月で仮免許まで到達できます。あなたもお気軽にご参加ください。http://www.chinpunkanpun-uriage3wariup.jp/
趣味 語学(英語・中国語・タイ語・韓国語) 弓道二段
座右の銘 「人生は足りないものが問題ではない。あるものをどう活用するかが問題なのだ」A アドラー
 「情報が流れれば人が動く。人が動けばモノが売れる」 P/F ドラッカー
 「ケンカ買います。人生一度きり」

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著書
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