中国地場の温泉と銭湯事情


中国現場コラムvol. 167 中国地場の温泉と銭湯事情


 最近中国にも、日本式の温泉・スーパー銭湯が進出して来ています。一方、中国地場の中国式温泉・銭湯もあります。一般の中国人の方の家を訪問すると、浴槽などはなく、1部屋の中で和式トイレの横にシャワーが付いており、シャワーを浴びると、トイレも洗面所もびしょびしょになる家が多くあることに気付きます。

 富裕層のマンションなどには浴槽が付いていますが、必ずしも浴槽につかるという習慣が浸透しているわけではない中国において、中国地場の温泉・銭湯事情につき、筆者の実体験を踏まえ紹介します。

1. 中国地場の温泉


 中国にも温泉があります。筆者が、広州市内から車で1時間半ほどの広東省从化の温泉街に行ったときのことです。広東省从化へは、広州駅近くの長距離バスターミナルからバスに乗って行きました。

 1度目に行ったときには長距離バスの車両が使われたのですが、2度目に行ったときには、公共バスのお下がり車両であり、座席から上を見上げると空が見えていました。

 从化のバスターミナルに到着すると、お約束のごとく、白タク、白バイクタクシーが待ち構えていました。その内の1台と交渉し、温泉街にあるホテルへと向かいました。20分ほどで温泉街に到着しました。

 チェックイン後、温泉に行こうとした筆者に、ホテルカウンターで係員が、「空腹で温泉に入ると体に悪いよ。先に夕ご飯を食べたほうが良いよ」とアドバイスしてくれたため、夕食後に外部の温泉に行くことにしました。

 向かったのは、仙沐園温泉。温泉入湯料118人民元/人を支払うと、貴重品・携帯電話を貴重品手荷物カウンターで預けた後、着替え、いざ入湯となります。ここは、水着を着て入る屋外の露天風呂群です。

 小学校のグラウンドほどの大きな敷地内には、何種類ものお風呂がありました。普通の風呂からアロエ風呂、レイシ風呂、朝鮮人参風呂、白酒風呂、コーヒー風呂、牛乳風呂などの変わり風呂まであります。プールもあります。男性も女性も同じ場所に水着を着て入ります。

 係員が巡回しながら、掃除や監視をしていました。サンダルを履いたままの入浴や、タオルの浴槽への持ち込みは禁止されており、ほとんどの中国人客は、ルールに従った入浴をしていました。脱衣所などをもう少しきれいにすれば、外国人客にとってもより興味深い場所になると感じました。

2. 中国地場の銭湯


(1) 北京のラドンセンター(健康ランド)


 日本各地にはラドンセンター(健康ランド)が多くあります。それと似通った場所は中国各地でもあり、多くの中国人が利用しています。先に紹介した、広東省从化の仙沐園温泉などとは異なり、屋内のお風呂です。

 筆者も、北京に居住していたとき、中国人の友人に誘われて、何度か北京現地のラドンセンターに行きました。そこは、1階は男風呂・女風呂があり、2階は食事処、3階はマッサージルームなどがある所でした。1階ではお客は男女別々のお風呂に入ることとなり、男性風呂では全員裸で風呂に入っていました。

 食事処の1区画では、お風呂上りのお客(老若男女)が、浴衣を着て歌うという、バンド演奏付きのカラオケ大会が催されていました。お客がカラオケをしていないときには、セミプロの女性が食事のバックミュージックのように歌を歌っていました。

 場所・店によって、立派か、そうでないかの違いはありましたが、こういった状況は、中国どこへ行っても同じような感じでした。たとえば、世界遺産である山東省/泰山登山後に行った、泰山麓のラドンセンターも同様でした。中国地場のラドンセンターは、中国人の好みに合わせた、見た目豪華な建物の中に入っていることが多くありました。

(2) 吉林省長白山の銭湯


 あるとき、中国吉林省の長白山(北朝鮮との国境にある山で、満州族と朝鮮族の聖地、朝鮮族は白頭山と言う)に行っていた筆者は、長白山麓の街にある串焼き屋で夕食を採っていました。

 中国人は、“焼烤(シャオカオ、サオカオ)”と呼ぶ串焼きが大好きです。肉・魚・野菜などを串焼にして食します。

 串焼屋は中国至るところにあります。日本の縁日に出ている出店のような串焼屋も多くあります。夜店好きな中国人はそういった店を好みます。中国式の串焼きだけでなく、中国の東北地方(遼寧省、吉林省、黒龍江省)では、日本の焼き鳥に近い物も多く出されています。

 長白山で、全身、焼鳥臭が染み付いた筆者がホテルに戻ると、ホテル内に大浴場があることに気付きました。銭湯のような大浴場でした。その大浴場は、近くに展開している人民解放軍の兵士などで賑わっており、着替えの場所もびしょびしょ。係員に何度も言わないと、乾いたタオルを貸してはもらえず、濡れたタオルの再利用を薦められました。

 浴室に浸かってみたところ、入った方が逆に不衛生ではないかと思えるようなものが色々と浮かんでいました。隣に置いてあったパイプベッドでは、あかすりの仕事をしている年配男性がパンツひとつで奮闘中であり、あかをこすってもらっている客の方は、素っ裸で寝転がっていました。

 中国人はサンダルを履いて風呂に入ると言われたり、人前では裸にならないと言われたり、浴槽には浸からずシャワーのみと言われることもありますが、少なくとも北京以北の華北地方と東北地方は日本とはさほど変わらない習慣を有するようにも思えました。ただ、そのホテル内の大浴場はあまり衛生的とは言えなかったため、筆者は早々にシャワーを浴びてから退散したのでした。

以 上(執筆者:奥北 秀嗣)


奥北 秀嗣

奥北 秀嗣

公認内部監査人
1996年早稲田大学教育学部教育学科社会教育学専攻卒業、2001年早稲田大学大学院法学研究科民事法学専攻修了(法学修士)。2009年中国北京にある中国政法大学大学院に留学し民商法を研究すると同時に、中国現地各有名弁護士事務所にて中国法務・労務を中心とした実務研修を行う。
【著書】
◾︎『中国のビジネス実務 人事労務の現場ワザ Q&A100』(共著、第一法規、2010年)
◾︎『中国のビジネス実務 債権管理・保全・回収 Q&A100』(共著、第一法規、2010年)他。
【論文】
◾︎「中国で債権回収に手こずる~現場からみた注意点(合弁、独資別)~」(中央経済社『ビジネス法務 2011年10月号』)
◾︎「中国ビジネス 現場で役立つ実務Q&A」(第一法規『会社法務A2Z』2012年1月号より連載中)
◾︎「中国から”上手”に撤退する方法」(中央経済社『ビジネス法務 2013年6月号』)
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著書


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