中国越境ECに関する税金と物流について




 経済産業省の発表によると中国人が越境ECで商品を購入する市場規模は、2015年約8000億円、そして2018年には75%増の1兆4000億円まで拡大すると推計されています。

 この巨大な急成長市場に向けてビジネスを開始する事業者が急増していますが、中国ビジネスにまつわるカントリーリスクがないわけではありません。そのリスクでもっとも大きいものは、行政当局が大きく影響を及ぼす物流・税金の問題です。

 特に中国の税金ついては、規定が非常に複雑なためインターネット等で検索すると公然と間違った情報が書かれていたりしますので、まずは正しく理解する必要があります。弊社は実際に越境ECで中国に商品を販売していますので、実務での取扱いをふまえた越境ECに関する税金・物流についてお話したいと思います。

物流について




 越境ECにおける配送方法は2通りあります。1つは日本から消費者の自宅までEMSで届ける「直送モデル」と、先に商品を船で保税区に搬入しておいてオーダーが入ったら保税区から消費者の自宅まで宅急便で届ける「保税区モデル」で、それぞれかかる税金も異なります。

 直送モデルについてかかる税金は行郵税で納税義務者は購入者です。税率は、食品が15%、衣類が30%、スキンケア化粧品が30%、メイクアップ化粧品やジュエリーが60%です。

 行郵税の徴収方法ですが、税関で荷物を全て留め購入者に税金を払いに来させると税関がパンクするという実務上の理由により、実際はほとんどの荷物が税金を徴収されることなく購入者の自宅まで届いています。

 大きな荷物、荷物の金額が高い物が見せしめ的に税関でピックアップされ税金を払いに来させているのが実情でそのピックアップ率は、場所や時期にもよりますがおおよそ荷物の金額1000元以下で0.1%前後、1000元超で1~3%と言われています。今後はこのピックアップ率が上がると言われており、その場合には購入意欲が下がる恐れがあります。


税金について




 次に保税区モデルにかかる税金は、関税と増値税と消費税です。

 しかし、1回あたり2000元以内、1年間の購入総額は2万元以内であれば、関税は免税、増値税30%減額され実効税率は11.9%となります。また消費税は、ブランド品や化粧品などのぜいたく品にのみかかる税金ですが、これも30%減額され実効税率は21%となります。

 つまり、食品やサプリメント、衣類などは11.9%、化粧品やブランド品は11.9+21=32.9%の税金がかかるということになります。保税区利用に際しては、税関のシステムと販売者のECサイトの連動が必須となっているためECサイト事業者が代理納税をしています。

 ほとんどの大手越境EC事業者は、直送と保税区の両方の配送方法を使っています。

 税金についてはどうかというと、保税区モデルの場合は税金込みの金額で販売していますが、直送モデルの場合は税金なしの金額で販売しています。そしてピックアップされて税金がかかった場合の取扱いについては、事業者が負担するか、購入者が負担するかはサイトによってまちまちです。

 中国における物流・税金のリスクは、その制度の複雑さと、制度を行政当局に恣意的に運用されてしまうことによります。そしてこの直送と保税区のどちらの配送方法をするかはよく考えるポイントです

 中国政府は、自由貿易区の発展を掲げていますので今後は保税区を重視していくという見解もありますが、今現在でいうと例えば化粧品のように保税区の方が税率が高い物もあります(直送30%、保税区32.9%)。また、保税区は利用するのに諸手続きが大変でコストもかかります。そして一度保税区に入れた商品は日本に戻すことは非常に困難なため在庫数はよく検討しなければなりません。

 ビジネスをやるからには利益が出ないと意味がありませんが、この税金と物流については利益に大きく関与するため、正しく理解し事業計画に落とし込む必要があるでしょう。(執筆者:沖野 真紀)


沖野 真紀

沖野 真紀
http://blooms.jp.net/

(株)ブルームス 代表取締役

関西大学法学部卒。司法書士資格取得後、ゴールドマン・サックスに就職。7年間に渡り投資業務に携わる。その後、北京大学留学を経て(株)ブルームス(旧社名:リブラ(株))を設立。主に大手化粧品・製薬会社をクライアントに、消費者調査や化粧品開発アドバイザー業を提供している。又、海外からの観光客向けインバウンドビジネスにおいても成功実績多数。著書「中国経済を牽引する女性消費者のリアル」はアマゾンの海外進出分野で1位を獲得。又、日本・中国・台湾のファッション雑誌で美容家としても活動中。

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