中国でウーバーを利用してみた~相乗りが多い中国と相乗り禁止の日本~


中国現場コラムvol. 165 中国でウーバーを利用してみた~相乗りが多い中国と相乗り禁止の日本~


 先日、上海市で、タクシー配車アプリであり、自家用車の乗合いサービス“ライドシェア”も手掛ける「Uber(ウーバー)」を利用しました。

 中国では地域によってタクシーの利用方法に違いはあるものの、上海市など沿岸部の大都市を除いて、相乗りが一般的です。また、地方では、空港や駅に限らず、タクシー代金もメーター式ではなく、交渉制が一般的です。

 今まで中国で一般的だった「滴滴快的」とウーバーとの違い、筆者がしばしば利用していた白タクを含むタクシー運転手の呼び出しと比較しながら、中国でのウーバーについて紹介します。


1. 上海市で利用したウーバー


 中国各都市では、時間帯・場所・天気にもよりますが、タクシー台数の不足に悩むことがしばしばあります。

 たとえば、雨や雪が降るとタクシーはなかなか捕まりません。また、武漢市の例で言うと、午後3時から5時まではタクシー運転手の早番と遅番の交代時間にあたるため、タクシー運転手が帰ろうとしている方向への乗車を希望している客しか乗車させてくれません。

 地下鉄やバスなど、別の交通手段が充実している大都市であればともかく、そうでない都市・交通が不便な場所に行くときには本当に困ることになります。

 先日午後3時過ぎ、上海市にいた筆者は、オフィス街から地下鉄では不便な場所へと行こうとしていました。そのとき、中国人の友人が、「“ウーバー”を利用しよう」と言ってきました。

中国人の友人:「“ウーバー”を利用しようよ!」

筆者:「“ウーバー”って、中国のタクシー配車アプリである滴滴快的や神州のようなもの?」

中国人の友人:「そう。むしろ一般的なタクシーがやって来る他のアプリと違って車の種類も選べるし、きれいな車だし、何よりも場所・時間が予約できるからウーバーは本当に便利だよ。僕はクレジットカード登録しているし、走行履歴もスマホで確認できるから、支払トラブルもないよ」

 筆者も、北京市居住のときは白タクの友人を呼び出し利用していましたし(参照:中国現場コラムvol.49 白タクと兄貴(哥)~白タク運転手を通じた中国世界の広げ方 前編~)、武漢市居住のときは滴滴快的を利用することもありました。

 白タクは自家用車でしたし、滴滴快的は外を流している一般のタクシーでしたが、どちらもきれいな車ではありませんでした。そこで、ウーバーも同じようなものかと思っていました。

 それが迎えに来たのは、6人乗りボックスタイプの非常にきれいな自家用車でした。タクシーというよりも、一流ホテルの配車サービスのようでした。運転手の中には、自家用車をウーバー用に使っている人も多く、また他の職業を持つ方が空き時間にアルバイトのようにして運転手をしているケースもあるとのことでした。



2. タクシーの相乗りが多い中国と相乗り禁止の日本


 中国の地方都市では、中国語で「拼車(pinche)」と呼ばれるタクシーの相乗りが一般的です。タクシーメーターも倒すことなく、運転手と交渉し合意した金額で乗車することになります。中国の観光地などでは、タクシーに乗せられるだけ客を乗せ、一人20人民元で列車の駅や長距離バスのバス停にまで運んでくれるなどです。

 河南省洛陽、殷墟に行ったときなども、駅でタクシーに乗車しようとする度にタクシー運転手は別の客を乗せようとするため、他の客の乗車を拒み自分たちだけで目的地に向かうには上乗せ料金が必要となりました

 総じて沿岸部の発展都市では日本同様に相乗りさせられることは少なくなっていますが、その他の都市、観光地などでは、相乗りがむしろ一般的です。中国の地方に行けば、タクシーメーターを倒すことが珍しいほどです。

 ここで関係してくるのが、ウーバーが中国で始めた、「uberCOMMUTE(ウーバーコミュート)」というサービスです。ウーバーコミュートは、運転手が行きたい方向と同じ方向に向かう客のみを乗せていくサービスです。

 前述のように、中国では、午後3時から5時までの早番・遅番の交代時間には、運転手が帰ろうとする目的地に近い客しか乗車させてくれません。この習慣を逆手に取ったサービスが、ウーバーコミュートだと言えそうです。このサービスを相乗りで利用すれば、更に中国式に適合するものとなります。

 中国世界では、何でも「差不多(chabuduo)=大体こんなもの」(参照:中国現場コラムvol.46 差不多~中国人(漢族)の真髄と中国の大学での悪戦苦闘記~)であるため、ウーバーコミュートが抵抗感なく受け入れ易いのかも知れません。

 きれいな言い方をすれば、「中国はシェアリングエコノミーの先進国」、「自家用車の相乗りサービス“ライドシェア”が普及した国」と言えそうです。

 一般にタクシーの相乗りが禁止され、白タク的な行為を禁止する日本では、現状、なかなか普及しにくいサービスかも知れませんが、中国各地で中国人と相乗りしてみるとなかなか便利であり、異文化交流もできることから、一石二鳥の存在であるのも事実です。

以 上(執筆者:奥北 秀嗣)


奥北 秀嗣

奥北 秀嗣

公認内部監査人
1996年早稲田大学教育学部教育学科社会教育学専攻卒業、2001年早稲田大学大学院法学研究科民事法学専攻修了(法学修士)。2009年中国北京にある中国政法大学大学院に留学し民商法を研究すると同時に、中国現地各有名弁護士事務所にて中国法務・労務を中心とした実務研修を行う。
【著書】
◾︎『中国のビジネス実務 人事労務の現場ワザ Q&A100』(共著、第一法規、2010年)
◾︎『中国のビジネス実務 債権管理・保全・回収 Q&A100』(共著、第一法規、2010年)他。
【論文】
◾︎「中国で債権回収に手こずる~現場からみた注意点(合弁、独資別)~」(中央経済社『ビジネス法務 2011年10月号』)
◾︎「中国ビジネス 現場で役立つ実務Q&A」(第一法規『会社法務A2Z』2012年1月号より連載中)
◾︎「中国から”上手”に撤退する方法」(中央経済社『ビジネス法務 2013年6月号』)
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著書


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