隙をつくらない並び方と中国人の距離感


中国現場コラムvol. 162 隙をつくらない並び方と中国人の距離感



 中国人は列に並ぶとき、前に並ぶ人との間には間隔をつくりません。スターバックスのレジでも、ユニクロのレジでも、空港の検査場・税関でも、前の人にぴったりとくっつくようにして立ちます

 あまりに前の人にくっつき過ぎて、空港検査場では、黄色いラインから飛び出していますが、係員もそれほど気にはしません。スーパーやスターバックスのレジでは、会計中の人の横に立ち、会計も終わる前から店員に話しかけ始めています。

 今回は、中国人の距離感と間隔をつくらない並び方から見える中国人の考え方についての現場コラムです。


1. 東京と香港のディズニーランド比較


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 中国において列に並ぶ際、前の人との間に距離を作らないで並ぶのは何も、年配の人に限りません。あるとき筆者は香港ディズニーランドに行きました。シンデレラ城が工事中のためか“張りぼて”であり、香港といえども、中国感がありありと伝わってきました。

 香港ディズニーランドでは東京ディズニーランドとは異なり、ビッグサンダーマウンテンのようなジェットコースターにはあまり人が並んでいなかったにもかかわらず、筆者の子供が乗りたがった子供向けのようなゴーカートの列には老若男女を問わず、多くの中国人が並んでいました。

 筆者の後ろに並ぶのは美男美女の中国人大学生カップル。筆者が家族と並んでいると、後ろの中国人女子大生がこつこつと何度も筆者の背中にぶつかってきます。動きがある度に、前の人にぶつかるように並ぶ、こういった並び方の理由は、少しでも隙を作らないことで、他の人に列に割り込まれないようにするためだとのことでした。

 年齢、性別などを問うことはなく、習慣として無意識の行動となっています。中国ではこういった並び方が通常であるため、後ろの人にこつこつと何度もぶつかられても誰もあまり気にしません。逆に注意をすると、後ろの中国人は驚いてしまいます。


2. 日本人と中国人では怒るポイントが違う


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(1) 割り込まれても怒らない。


 筆者が居住していた北京市、武漢市はともに短気な中国人が多い土地柄です。交通マナーが中国随一悪いと筆者が思う武漢市では、短気な武漢人でさえ怒らないことがあります。

 それは車の割り込みです。

 出勤時間、退勤時間になると幹線道路は混雑を極めます。皆がすごいドライビングテクニックで運転する中、割り込みや飛び出しが多くあります。まるでゲーム機器で遊んでいるかのような状況が現実の道路上で展開されています。

 同じ状況が日本で行われた場合、割り込まれたり、飛び出されたりした日本人はクラクションを鳴らし、怒り始めることが多々あると思います。しかし、武漢人は怒りません。自分自身が割り込んだり、飛び出したりしているせいか、他人に同じことをされても、淡々としています。隙間を作った自分が悪いと思っている部分もあるのかも知れません。

(2) 長時間、レジ待ちをしても怒らない。


 武漢市では、スーパーなどでレジに並ぶ時間が長くなりがちなのも特徴して挙げられます。店員も客も他人がどう思うかは気にせず、好き勝手な行動をします。

 たとえば、展示品なのにもかかわらず値札が張られていないこともありますが、そういった商品を持ってきた場合、客は自分自身で値札が張ってある同一商品を取り直しに行かなければなりません。店員が持ってきてはくれません

 スターバックスなどのレジで、商品の説明を暢気にレジ係員に聞いたり、長時間何にするか悩んでいたりする客も多くいます。こういった場合でも、後ろに並んでいる客は、一向に怒ったりせず、気長に並んで待っています。普段は短気な武漢人と日本人とでは怒り出すポイントも違うようです。

  中国人を見ていると、(1)自己責任という観点、および(2)他人のことを気にしないという意識から出てくる行為が多いように感じられます。


3. 中国人が持つ距離感


 知らない人には隙を作らない。騙されたり、損をさせられたりすることを警戒する。その一方、一旦、腹を割って親しい関係になるとどこまでも親切(おせっかい?)になるという中国人独自の距離感が、列の並び方にも現れているようです。

以 上(執筆者:奥北 秀嗣)


奥北 秀嗣

奥北 秀嗣

公認内部監査人
1996年早稲田大学教育学部教育学科社会教育学専攻卒業、2001年早稲田大学大学院法学研究科民事法学専攻修了(法学修士)。2009年中国北京にある中国政法大学大学院に留学し民商法を研究すると同時に、中国現地各有名弁護士事務所にて中国法務・労務を中心とした実務研修を行う。
【著書】
◾︎『中国のビジネス実務 人事労務の現場ワザ Q&A100』(共著、第一法規、2010年)
◾︎『中国のビジネス実務 債権管理・保全・回収 Q&A100』(共著、第一法規、2010年)他。
【論文】
◾︎「中国で債権回収に手こずる~現場からみた注意点(合弁、独資別)~」(中央経済社『ビジネス法務 2011年10月号』)
◾︎「中国ビジネス 現場で役立つ実務Q&A」(第一法規『会社法務A2Z』2012年1月号より連載中)
◾︎「中国から”上手”に撤退する方法」(中央経済社『ビジネス法務 2013年6月号』)
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著書


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