中国の苦しい経済運営と13次5か年計画



GDPが7%を切ると経済運営が非常に困難といわれている中国、7-9期のGDPは6.9%と発表された。一体全体経済的に現状はどのようになっているのか? いくつかの事実から考察し、後の方向性を見通したい。


人民元切り下げ


8月17日に中国人民銀行は3回にわたり約5%の約人民元切り下げを行った。そして10月23日に貸出基準金利(1年物)と預金基準金利(同)を、それぞれ0.25%引き下げた。いくつかの見方が存在している。その中で、国内企業に対する輸出振興策ではないかという意見が論理的には合致する。但し、その手段は有効か?

2005年から2007年にかけて、為替レートは年間平均で約7.2%切り上げられた。(1ドル8.19RMB→7.60RMB、中国統計局数字)米国からの中国の貿易黒字を解消するよう外圧がかかった影響もあり、人民元を切り上げて、価値を上げた。しかしながら、輸入は継続的に拡大したものの、輸出量は減少せず、結果として貿易黒字は増加の傾向をたどっていった。

過去の経済政策の実績からすると、人民元切り下げは(2005年とは逆の政策)輸出ドライブにかかるとは非常に想像し難いことになる。


通貨供給量と利下げ



2005年から2014年にかけて、通貨供給量はずっと増加の一途をたどっている。M2は2005年29兆RMBが、2014年には122兆RMBに上る。

2014年11月から2015年8月にかけて、預金金利が6回にわたり引き下げられた(3.0%→1.75%)。そして預金準備率も引き下げられた(19.0%→17.5%)

しかしながら、GDPの成長率は7%台からそれを切る段階に差し掛かっている。

省別でみた場合には、GDPが高いエリアは主に内陸部である。

2014年上位5エリア

貴州省(114%)
チベット自治区(113%)
重慶市(112%)
湖北省(110%)
海南省(110%)

規模こそ沿岸部ほど内にしても、成長の波は確実に内陸部に移っている。

内陸部をより成長させるか、沿岸部の経済を底上げする等の政策は、産業構造による違いを考慮する必要がある。金融緩和=市場に出回るお金の量の増加による消費が上がるのは内陸部ではないか。


製造業不況とサービス業とのバランス



2014年にはGDPの中に占める第三次産業の割合は第一次産業を超えた。2014年で第三次産業は約48.1%、第二次産業は約47.1%の構成比となっている。各地区の第一次産業の割合はいずれも低いが、地区別によって、産業構造が異なる。

第三次産業の割合は下記のとおり(2014年)

北京市:78%

上海市:65%

重慶省:47%

貴州省:45%

湖北省:41%

李克強首相は、伝統的な数値以外に、独自の分析で中国経済を分析してきた。いわゆる李克強指数。指数の3つは「新規融資額(銀行融資)」「発電量(電力消費)」「鉄道貨物輸送量」である。これらは、李首相が遼寧省の党委書記時代(2004年~2007年)に実績を上げた際の独自の分析視点として一時注目されてきた。でもこれは中国全土で当てはめるのは無理があると思う。第三次産業で生計を立てている北京や上海では通用しない。

結果として、沿岸部はサービス業のウエイトが高いために、今回の金融切り下げにはあまり効果は出ず、内陸部の企業の資金調達を目的としているのではないかと思ってしまう。

2008年リーマンショックで4兆元突っ込んで、その後固定資産への投資が盛んになり、ある調査では累積で2000兆元あるといわれている。それを10年かけて返済し、利子8%と単純計算しても毎年16兆円に上る。利下げや為替の切り下げ程度では、もう中国経済のスローダウンは止められない。

追い打ちをかけるように先日ロイターでは10月23日に中国中鋼集団(シノスチール)が事実上の債務不履行(デフォルト)に陥っていると報道されている。おそらく景気刺激策をするためには、中国の国有企業改革が1丁目1番地ではないかとみている。その他、金融改革がどこまでできるか注目している。(為替の自由化、株式購入外国人に開放等)

10月26日~29日にかけて次期5か年計画が決定する。スマートシティ、資源、金融改革、国有企業改革、農民工改革、人口問題、高齢化問題、待ったなしの改革が出てくるか注目したい。(執筆者:廣田(李) 廣達)


廣田 廣達

廣田 廣達

■所属:
・王子ホールディングス(王子製紙グループ)の中国の子会社に出向。中国におけるマーケティングの担当。上海駐在。
■ライフワーク
日中及び日本アジアの違いに着目し、コミュニケーションの改善を通じて、ビジネスの発展に寄与するための講演活動を行う。
・講演実績:三菱総合研究所、日刊工業新聞社、桜美林大学、異文化コミュニケーション学会、スイングバイ株式会社、東京-上海ビジネスフォーラム、アジア経営研究会、人生繁盛会(道端康予主催)等
・異文化コミュニケーション学会役員・会員誌編集長

■強み:中国ビジネス全般・マーケティング・異文化マネジメント

■その他プロフィール:
中国系華人。神戸出身。神戸商科大学を卒業。

■ユニチャームで勤務:ベビー、フェミニン、大人用おむつの中国・アジア地域のマーケティングを担当。当時上海に通算で約3年駐在。

■㈱ベネッセコーポレーションで勤務:教育に関する海外展開のため中国事業の支援及びFSを担当。

■㈱新日本科学で勤務:世界的No.3の医薬品の前臨床、臨床試験を行う研究開発の会社(CRO)で中国の会社立ち上げ、中国を中心に合弁パートナーとの交渉を担当。中国以外ではカンボジアの事業、ブータンの事業等を支援。

SIETARのHP
http://www.sietar-japan.org/index.html


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