中国の経済成長鈍化から見る日本企業の対応



 中国の株安、バブル崩壊? 等中国経済にとってマイナスの記事が最近多い。そうした中で、当事者として対応すべきことを2回に分けて記載する。

 今回は日系企業編です。今回は日本企業がすべき内容(主としてマーケティング戦略を記載した。

 内閣府は不況の背景の要因の一部である、「中国は中所得国の罠を抜けたのか」? ということを下記の通り説明した。

「中所得国の罠」とは、多くの途上国が経済発展により一人当たりGDPが中程度の水準(中所得)に達した後、発展パターンや戦略を転換できず、成長率が低下、あるいは長期にわたって低迷することを指す。」

(引用元:内閣府HP

 中所得の水準は一般的に1人当たりGDPが1万ドル前後といわれている。そして内閣府のレポートは、4つの切り口で、中所得の罠を抜けるポイントを指摘している。

(1)投資の重要性低下に伴う技術革新の推進

(2)産業・輸出構造の高度化

(3)中堅・高度人材の育成とマッチング

(4)都市化の進展と厚みのある中間層の構築
 そこで、昨今中国の人民元の約4-5%程度切り下げたことに対して、中国元高の時に果たして海外進出して成功した企業があるかということ考えてみた。

 元高=外国の通貨安で、中国企業の輸出による成長モデルが厳しくなり、海外への投資が促進される。(日本のプラザ合意以降のドル高政策の是正で日本企業が東南アジアに進出したことを想像すればわかりやすい)

 ハイアール、フアウエイ、レノボ、小米等電機業界、アリババ含めて一部車業界等の民間企業や、国の支援で石油関連等の素材分野が海外進出している。

 しかしながら、産業といってもBtoBやBtoCなどの多くの分野が存在しているにもかかわらず、日本や東南アジア、インドに中国の製品が多く存在しているかといえば、Noである。たとえ進出したとしても、コスト競争力を武器としたコストリーダーシップ戦略で、日本が高度経済成長した技術の差別化による進出ではない。

 一方製品差別化が困難になった場合には、ブランド、マーケティング全体の差別化が必要であるが、中国製品を買いたいというようなブランドロイヤルティ獲得や、マーケティングの4Pの中で、価格の優位性以外に、中国企業が優れているポイントは存在するかどうか非常に疑わしい。

 むしろブランドの観点から、中国製品を買いたくない人のほうが多い(日本だけではなくインドネシア、マレーシア、タイなど日本ブランド、欧米ブランドの相対比較の中で)。中国の化粧品、日用雑貨品等圧倒的にP&Gやユニリーバよりも優れている製品がでるまでの水準に至っていないということである。

 結果として、中国政府は、元高によって中国企業が海外進出したのはごく一部で、GDPに与える影響が少ないということで、少しではあるが、元安に少し舵を切っている。これで、本当に中国企業の製品が再び輸出増加につながるかは少し疑わしい。

 絶対値では中所得の罠を抜けたように見えるが、実態を見る限り、まだ先進国入りしたというのは早計かもしれない。

 こういう状況を見て、日本企業としてすべきことはいくつか存在すると考えている。


日本企業としてすべきこと


1. 製品の価格セグメントの決定


 日本とは異なり、収入層が東南アジアではまだまだ低いので、製品価格セグメントを用検討する必要がある。

 MicrosoftやAppleのように、全世界でほぼ同一価格を実現できる製品もあるが、これは例外的なことである。インドのGEのリバースイノベーションでの、健康診断が簡単にできる機器(データは蓄積せず、プリンター機能を備え、その場で健康状態をアウトプットする。田舎部で有効)等

 ジニ係数4強が公式なデータであるが、実際には6強という中国の大学のデータも存在する。沿岸部よりも内陸部進出であれば、もう少し中間層も多く存在しているので、非常に興味深い。

2. ブランドの差別化


 中国企業と競争するのは、中国市場だけではなく、中国以外の東南アジア、インド市場でも同様である。コストリーダーシップを背景に、携帯の小米等がインド、Huaweiがインドネシア、マレーシア等に進出し、欧米企業同様に競争することになるので、中国企業が現段階では太刀打ちできない分野ですし、日系企業もブランドマーケティングを推進する必要がある。実際にブランドマーケティングが優れている企業が多く存在しているので、十分可能である。

 SONYやPANASONIC、TOYOTA等東南アジアではブランド資産が存在しているので、それに続いていけば、日本の中小企業でも十分に戦えると考える。

 外部環境を変更するのは1つの企業で行うのは非常に困難なので、中国企業との競争の中で、価格競争に巻き込まれないことが一番重要ではないか。

 非常に地道ではあるが、王道はないと考える。

 次回は、中国で対応しようとしていることを記載いたします。(執筆者:廣田(李) 廣達)


廣田 廣達

廣田 廣達

■所属:
・王子ホールディングス(王子製紙グループ)の中国の子会社に出向。中国におけるマーケティングの担当。上海駐在。
■ライフワーク
日中及び日本アジアの違いに着目し、コミュニケーションの改善を通じて、ビジネスの発展に寄与するための講演活動を行う。
・講演実績:三菱総合研究所、日刊工業新聞社、桜美林大学、異文化コミュニケーション学会、スイングバイ株式会社、東京-上海ビジネスフォーラム、アジア経営研究会、人生繁盛会(道端康予主催)等
・異文化コミュニケーション学会役員・会員誌編集長

■強み:中国ビジネス全般・マーケティング・異文化マネジメント

■その他プロフィール:
中国系華人。神戸出身。神戸商科大学を卒業。

■ユニチャームで勤務:ベビー、フェミニン、大人用おむつの中国・アジア地域のマーケティングを担当。当時上海に通算で約3年駐在。

■㈱ベネッセコーポレーションで勤務:教育に関する海外展開のため中国事業の支援及びFSを担当。

■㈱新日本科学で勤務:世界的No.3の医薬品の前臨床、臨床試験を行う研究開発の会社(CRO)で中国の会社立ち上げ、中国を中心に合弁パートナーとの交渉を担当。中国以外ではカンボジアの事業、ブータンの事業等を支援。

SIETARのHP
http://www.sietar-japan.org/index.html


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