喫煙大国中国での禁煙政策~北京市の厳格な禁煙条例~


中国現場コラムvol. 158 喫煙大国中国での禁煙政策~北京市の厳格な禁煙条例~



 中国で客先訪問などをしていると、どこへ行っても勧められるものがあります。宴会の席のみならず、客先のオフィス内でも勧められるのはタバコです。タバコをお客さんに勧めることはむしろ中国では礼儀となっているようです。ただし、断ることは何ら問題がないのが一般的です。お客さんに勧めたことで、安心したかのように、自分でもタバコをくゆらせ始めるのです。

 本コラム欄にても、中国での喫煙の現状については何度か紹介してきましたが、(「中国の公共の場における禁煙義務付け~マカオ・香港に続き北京でも~」、「2階からゴミ…、どこでもトイレ… 中国のマナーには大きな地域差」、「中国の公共の場における禁煙義務付け まずはマカオから」)今回は、喫煙大国中国での禁煙政策に関する現場コラムです。


1. 北京の厳格な禁煙条例が2015年6月1日より施行



 中国の首都北京市では、公共の場における禁煙を義務付ける北京市禁煙条例が、2015年6月1日より施行されています。北京市では、今後、公共の場のほか、仕事場の室内および公共交通機関においては禁煙が義務付けられることとなりました。幼稚園・小学校・中学校、運動場、妊婦・幼児・子供向け医療施設などでは、室内にとどまらず、室外でも禁煙が義務付けられることとなっています。幼稚園・小学校・中学校の半径100メートル以内ではタバコの販売自体が禁止されました。

 テレビ・雑誌等のメディアのほか、病院など医療機関や公共の場でのタバコ広告を禁止する内容の改正広告法が2015年9月1日より施行されることとなっています。また、禁煙条例に違反した施設は最高1万人民元(日本円で20万円相当)の罰金、個人の違反者も最高200人民元(日本円で4,000円相当)の罰金となります。他にもタバコ消費税が5%から11%に引き上げられることとなっています。
やると決めたらすごいスピードで徹底的にやるという中国らしい内容の条例となっています。


2. 禁煙条例の趣旨を貫徹できるか?



 2011年、北京首都国際空港の喫煙ルームが一旦閉鎖されたものの、数ヶ月で復活するという出来事がありました。空港利用客からのクレーム、要望が強硬にあったためでしょうか。トイレなど、本来の喫煙所とは異なる場所での喫煙者が多くいたことも一因のようです。2015年の今回も、北京首都国際空港の喫煙ルームは閉鎖されたということです。今回は、不退転の決意で望むのか、また復活するのかは時間の推移を見守る必要があります。

 筆者が居住した地域では、エレベータ内でも、デパートの売り場内でさえも、場所を選ぶことなく、何の遠慮もなくタバコを吸いながら歩く人が多くいます。マンション敷地内を歩いていても、自宅マンションのベランダで洗濯物を干していても、空からタバコが降ってくることもあるお国柄です。

 また、メジャーな高級タバコは中国中どこへ行ってもあるものの、中国では、地タバコが主流である、という特徴があります。地タバコでも価格変更が頻繁に行われるという特徴があります。前述した税制変更のためという理由以外でも、タバコの値段は頻繁に変わっているようです。アメリカなど海外製のタバコは、為替の影響もあってか、中国においては、さらに頻繁に価格変更があります。

 そういった環境下でも、中国の喫煙者、愛煙家は、条例の施行にも、価格変更にも影響を受けないのでしょうか?北京での動きが中国各地、どこまで広がるかは今後の動きを引き続き見守る必要があります。いっそのこと、何事に対しても、やると決めたことにはものすごいスピードで極端に進める特長がある中国では、中国人相手に禁煙ビジネスを勧めるのも面白いかも知れません。たとえば、電子タバコ、禁煙ガム、禁煙のための医療(美しい歯を保つための歯科治療を含む)、分煙のための機械設備・排気設備などです。


3. 静かな健康ブームでもある中国の実態


 中国人、特に富裕層の間では、静かに健康ブームが広がっています。たとえば、日本の北海道へ行って、最高級の健康診断を受けたうえ、温泉にゆっくりと入り、体に良い健康的な食事をするツアーが売り出され、人気となっていたりするようです。

 筆者は、海南島のビーチで寝転びながらタバコを吸い、吸殻を捨てているのは中国人ではなく、欧米人女性という光景にも出会いました。また、タイは毎年数十万人の中国人観光客の訪問を受けていますが、筆者が、タイのとあるビーチで出会った中国人の集団は、静かにまた綺麗に食事をし、ビーチを利用していたのにはびっくりしていました(タイで武漢行きの飛行機を待つときにはいつもの武漢人集団に囲まれましたが・・・)。そこでも、ビーチで周りを気にすることなく喫煙し、吸殻を捨てていたのは、欧米人男性でした。

 世界遺産を多く有する中国は、観光立国でもあります。世界に認められる、世界に良識のある国にすべく、中国政府も「文明旅行指南」というものを発表し、中国人の中に浸透させようとしています。中国も変わり行く過渡期にあるようです。喫煙・禁煙の状況も静かに変わり行くのでしょうか。(執筆者:奥北 秀嗣)


奥北 秀嗣

奥北 秀嗣

公認内部監査人
1996年早稲田大学教育学部教育学科社会教育学専攻卒業、2001年早稲田大学大学院法学研究科民事法学専攻修了(法学修士)。2009年中国北京にある中国政法大学大学院に留学し民商法を研究すると同時に、中国現地各有名弁護士事務所にて中国法務・労務を中心とした実務研修を行う。
【著書】
◾︎『中国のビジネス実務 人事労務の現場ワザ Q&A100』(共著、第一法規、2010年)
◾︎『中国のビジネス実務 債権管理・保全・回収 Q&A100』(共著、第一法規、2010年)他。
【論文】
◾︎「中国で債権回収に手こずる~現場からみた注意点(合弁、独資別)~」(中央経済社『ビジネス法務 2011年10月号』)
◾︎「中国ビジネス 現場で役立つ実務Q&A」(第一法規『会社法務A2Z』2012年1月号より連載中)
◾︎「中国から”上手”に撤退する方法」(中央経済社『ビジネス法務 2013年6月号』)
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著書


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