アジア系航空会社のサービスにみる好感度の培われ方


 仕事の関係で飛行機に乗ることが多い。自然に航空会社に対しても好き嫌いを持つようになる。総じて言えば、アジア系の航空会社のサービスがいい。ヨーロッパ系はでこぼこで、サービスのいいところと悪いところがあり、差が大きい。

 一番評価したくないのはアメリカ系だ。中国の航空会社はやや論外で、評価するには、複雑な説明が要る。強いて言えば、機内でのサービスは悪くないが、空港でのサービス、特に飛行機のダイヤに遅延などが出た時の対応はあまりにも悪すぎる。


きめ細かいサービスを提供するアジア系航空会社


 アジア系の航空会社を利用するとき、サービスの細部にも目を配って競争しているのを肌で感じられる。

 この間、1年ぶりにタイに緊急出張した。秘書が勧める日本の航空会社の便を蹴って、私はキャセイパシフィック航空を選んだ。機内でお手洗いを利用したとき、思わずバンコクに行く便に乗ったという実感が湧いてきた。ラバトリーの壁に一輪ざしが飾ってあった。挿してあるのは蘭の花だ。

 1年前にバンコクから東京へ戻る日本航空(JAL)便の中で、やはりラバトリーで感動的な光景を目にした。洗面台の隅っこに、お礼のあいさつを日本語と英語で書いた客室乗務員の手書きの手紙が置いてあった。キャセイパシフィック航空の花の言葉で伝える乗務員と航空会社の感謝の気持ちと相通ずるものがある。細部に魂が宿るという表現があるが、中国の航空会社はこうしたところにも努力しないと、差がどんどん付けられてしまう。


懸命な対応に思わず名前をメモった


 しばらく前、日本人を数人連れて海南省の海口に行った。全日空便でまず上海の浦東空港に飛んで、そこから海口に乗る上海航空便に乗ることになっていた。本来は同じ空港内での乗り換えですむはずだったのだが、その日に限って、上海の虹橋空港に移動してそこで乗り換えをしないといけないと言われた。

 しかし、虹橋空港に行くには、上海市内を横断しなければならない。出迎えに来た上海の子会社の担当者は新卒者で、空港でのこうした異常事態のもとでの出迎えにはすっかりあがってしまった。別々に浦東空港へ来た貸し切りバス運転手となかなか意思疎通がうまくできず、私たちはひたすら空港の玄関で運転手の到着を待っていた。時間が刻一刻と流れ、万が一、乗り遅れたら、という心配は全員に襲ってきた。

 そのとき、全日空上海浦東空港の女性担当者が懸命に運転手と連絡を取ったり合流する場所を教えたりして対応してくれた。そのお陰で私たちは無事、バスに乗り、そんなに時間がかからずに虹橋空港へ移動することができた。

 バスに乗り込む前に、全日空の女性担当者のIDカードに目をやった。「王俊婷さんだ」と感謝の気持ちを抱いて、彼女の名前を携帯電話のメモに書き込んだ。

 確かに以上の実例はどれを取ってみても小さな出来事だ。しかし、ある航空会社に対する好感度はこうした細かいところから次第に培われてくるものだ。サービス業やエンドユーザーを対象にビジネスをする会社にとっても同じではないかと思う。(執筆者:莫 邦富)


莫 邦富

莫 邦富
http://www.mo-office.jp/

作家・ジャーナリスト。1953年、上海市生まれ。上海外国語大学日本語学科卒。同大学講師を経て、85年に来日。95年に莫邦富事務所を設立。知日派ジャーナリストとして、政治経済から文化にいたるまで幅広い分野で発言を続けている。また、「新華僑」や「蛇頭」といった新語を日本に定着させたことでも知られる。
日本企業の中国進出、中国向け商品のネーミング開発、日中地方自治体や企業に対するコンサルタントも積極的に進めている。博報堂スーパバイザ。SMBCコンサルティング顧問。安徽省観光大使。山梨県観光懇話会委員。石川県中国インバウンド研究会顧問。ニューコン株式会社(IT企業)社外取締役。大妻女子大学特任教授など。

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