レストランで発票をもらわないとプレゼントをもらえた


中国現場コラムvol. 137 レストランで発票をもらわないとプレゼントをもらえた

 発票は中国における請求書兼領収書です。中国は国家が発票を一元管理しており、一私人が正式な発票とは異なって出す領収書は、当事者間での金銭授受に関する証拠(+会計上の費用処理)としてはともかく、税務局からは税務上の正規の領収書としては認められないものとなります。今回は、中国が国家として、あの手この手で発行させようとしている発票の動きと逆行するかのような実務の動きについての現場コラムです。


1.発票と脱税防止のためのスクラッチくじ


 レストランのようなサービス業では大型機械設備の販売のように在庫管理、売買管理が容易ではないため、比較的売上金の操作をしやすい業種と言えます。そういった業種でも発票を発行すると売上額が明確となるうえ、税務局に対して税務申告をしなければならなくなります。そのため、中国国家は、スクラッチくじをつけるなどして、客側からも発票を発行させるようにする動きを今までもしてきました。

 筆者が中国語語学研修生として北京に居住していたときも、語学研修仲間のなかにはこのスクラッチくじで50人民元(現行のレートで、約880円)を当てた!、などと言いながら、毎回、発票の発行を店側に要求していた方もいましたが、この例などは、まさしく中国国家の狙いに当てはまったものでした。

【会計上の費用と税務上の損金参入】
正規の発票ではない領収証でも会計上の費用計上はできます。しかしながら、正規の発票でなければ、税務上の損金算入ができないため企業所得税が課税されることになります。


2.武漢市のレストランのプレゼントは国家の動きと逆の気が…


 武漢市の地元レストランに中国人の友人と行ったときに見たレストランの動きは、中国国家が発票を何とかして発行させようとしている動きに逆行しているものだと感じました。

中国人の友人:「そういえば、この前もこのレストランに来たけれども、そのときはもったいないことをした!」

筆者:「どうしたの?」

中国人の友人:「発票はいらないから小礼物(ちょっとしたプレゼント、おまけ)が欲しい、と言えば良かった!」

筆者:「…?」

中国人の友人:「武漢市の大半のレストランでは発票をいらないから小礼物が欲しいと言えば、何かしらプレゼントがもらえるんだよ。服務員(店員さん)!」

服務員:「はい?」

中国人の友人:「発票はいらないのだけど、何をもらえるの?」

服務員:「コーラかポケットティッシュです」

中国人の友人:「じゃ、ポケットティッシュ」


 日本の街中で配られているような程度のポケットティッシュかと思って見ていると、服務員が持ってきたのは、スーパーなどで売っているような10個セットの立派なものでした。

中国人の友人:「こんなにもらえた! 何も言わなかったら、そもそも何ももらえないのだからね(笑顔)!」

 別の機会に別のレストランでも同じように言うと、王老吉(中国で大いに売れている漢方入りの清涼飲料水、中国国内線でも配られる)がもらえました。


3.一体このからくりは?


 中国中、同じからくりでプレゼントがもらえるのかどうかまでは確かめていませんが、少なくともここ武漢市の地元系のレストランでは、多くの場合、発票を発行してもらわない場合に店員に一声掛けると、プレゼントが何かしらもらえるようでした。レストラン側のやり方も、客側のやり方にもたくましさ、したたかさを感じさせられた経験でした。
以 上(執筆者:奥北 秀嗣)


奥北 秀嗣

奥北 秀嗣

公認内部監査人
1996年早稲田大学教育学部教育学科社会教育学専攻卒業、2001年早稲田大学大学院法学研究科民事法学専攻修了(法学修士)。2009年中国北京にある中国政法大学大学院に留学し民商法を研究すると同時に、中国現地各有名弁護士事務所にて中国法務・労務を中心とした実務研修を行う。
【著書】
◾︎『中国のビジネス実務 人事労務の現場ワザ Q&A100』(共著、第一法規、2010年)
◾︎『中国のビジネス実務 債権管理・保全・回収 Q&A100』(共著、第一法規、2010年)他。
【論文】
◾︎「中国で債権回収に手こずる~現場からみた注意点(合弁、独資別)~」(中央経済社『ビジネス法務 2011年10月号』)
◾︎「中国ビジネス 現場で役立つ実務Q&A」(第一法規『会社法務A2Z』2012年1月号より連載中)
◾︎「中国から”上手”に撤退する方法」(中央経済社『ビジネス法務 2013年6月号』)
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著書


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