中国でも羽生選手が大人気 背景にあるスポーツ観戦環境と意識


 羽生結弦選手が日本初の男子フィギュアでの金メダルを獲得し、日本中が湧いたのと同じく、中国でも同じように羽生選手が世界の頂点に立ったことに歓喜する人たちがいました。特に女性たちです。それも少なくありません。2月15日の夜現在、百度の掲示板にはスレッドが4万2千以上立てられ、羽生ファンにはすでに「羽毛」という呼び名までついています。

 ダイナミックな演技の一方、くったくのない笑顔とスレンダーな羽生選手に対し、彼女らは気に障る日の丸を掲げようが、大嫌いな安倍総理と電話しようが「全部許す」というコメントをWEB上に残すほど19歳の日本の少年に魅了されています。もう政治は頭の中にはありません。

 ここまで羽生選手に熱を上げてくれるなら、この人たちは羽生選手が契約する航空会社を利用して、日本の東北地方に旅行に来てくれるのではないかと密かに想像してしまいます。

 羽生選手の容貌や次元の違うパフォーマンスが心を掴んでいる、というのは私も異論はありません。しかし、自国選手が特にメダルを期待されていない競技の、外国人、それも複雑な感情を抱く日本人に対し、これだけ熱狂するのはなぜなのだろう? という気がしなくもありません。少なくとも私には、日本人女性がブームになるほど他国のオリンピック選手に熱狂していた記憶がないのです。

 ここには、日本とは違なる中国のスポーツ放送が関係している気がしています。

 中国はかつて自国内で放送するスポーツコンテンツが少なく、ほとんどを海外に頼っていた時期がありました。サッカー、バスケットボール、陸上などもそうです。例え自国のそれらの競技は貧弱でも、世界の一線級の試合をテレビで観戦してきたため、普通の中国人でも海外の有名選手を非常によく知っています。感覚的に外国人アスリートが遠くないのです。

 よって放送そのものは自国の有力選手が出場する競技ばかりに人気が集まるわけでなく、外国人でもちゃんとした実力がある選手は評価し、競技観戦も人気という具合です。

 実際、日本人アスリートでも北島康介や内村航平、本田圭佑などは非常に人気があり、尊敬も集めています。

 その一方、中国人的には、日本のようにオリンピックで自国の誰かがメダルを獲ると、その競技を一日中放送しているのにはなんとなく違和感があるようです。当然、中国が獲得したメダル数が多すぎる(夏季の場合)というのもあるでしょうが、在日中国人曰く、「せっかくのオリンピックなんだから、他も放送しなければもったいないだろう?」でした。

 中国のスポーツ中継の技術についてはまだまだ改善の余地があるものの、自国だけに偏らないスタンスは日本よりもグローバルかもしれません。スポーツ観戦という点においては、中国人は世界の中での自国の立ち位置が意外と見えているのでしょう。

 こうした背景があっての羽生選手の中国でのブレイクというのもある気がしています。(執筆者:米村 美樹子)


米村 美樹子

米村 美樹子
http://xiaomimy.wix.com/office-j-do

オフィス・ジェイド 代表
北京新海櫻文化有限公司 人材研修トレーナー
中国女性人材育成マーケティングコーチ

NHK富山局リポーター、NHK国際放送局キャスターを経て、2004年より北京在住。語学留学後、2006年から人材研修事業に従事。主に在華日系企業などの中国人従業員を対象にしたコミュニケーション研修、ビジネスマナー研修などを行う。日本国内でも中国赴任準備研修や中国人材のためのコーチングなどを展開。
WEBLOG http://blog.goo.ne.jp/beijing-japanese/

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