「春節」前後のビジネスに注意(3) 出張は敢えて行くべき?


 「春節」は転職が多い季節です。「春節」の正月休暇を機に会社を辞める人、ボーナスをもらって会社に辞表を出す人、新しい年を新しい職場で迎えようとする人etc. 

 「春節」の前後は重要な案件の打ち合わせや意思決定は避けたほうが無難です。クリスマスから年末年始、そして「春節」までは何かと慌しい季節です。重要案件の決定は慎重に進めたほうがいでしょう。実は、この「春節」の前後は転職が多い時期なのです。

 また、「春節」は転職の季節でもあります。正月明け、その会社を訪問してみると担当者がいなくなっている(転職してしまっている)ということもあります。日本の会社では考えられませんが、中国や台湾では担当者が代わってしまうと商談が最初から組み立てなおしということがよくあります。会社を辞める担当者が後任者に十分な「引き継ぎ」をしないまま会社を辞めてしまうということがよくあるからです。

 重要な案件は会社とトップの意向を十分に確認し、実務の担当者とも普段以上に連絡を密に取り合い、十分なコミュニケーションを欠かさないように仕事を進めることをお勧めします。「春節」の前後は特に注意が必要な時期です。

 筆者は基本的に「春節前後の出張はできれば避けるべき…」と考えますが、「敢えてこの時期に出張を入れている…」という商社の友人もいます。その目的は「忘年会」です。彼は「春節」前に敢えて出張を入れて現地で取引先の「忘年会」の梯子をするというのです。

 そのひとつの理由は、彼に言わせると「担当者の進退確認…」だと言います。「一年間、お疲れ様でした。お世話になりました。来年もいっしょにがんばりましょう…」という挨拶。さらに来年の具体的な計画や将来の方向性など、担当者とのコミュニケーションを取り、信頼関係を深めるには、忘年会の時期は絶好の機会なのです。

 「春節前後の出張は人間関係のメンテナンスのために重要…」と考えるわけです。長年中国でのビジネスに携わってきたからこそ言えるコメントかも知れません。

 ビジネスは「会社」対「会社」が基本です。契約書を交わして仕事は会社対会社で進めていきます。しかし、実際の仕事の現場を動かしているのは担当者です。仕事の現場では「人」対「人」の信頼関係が重要。あたりまえのことなのですが、特に華人圏では「人」対「人」の信頼関係を十分に意識してビジネスを進めていく必要があります。(執筆者:吉村 章)


吉村 章

吉村 章
http://www.ippc.biz/default.aspx

ASIA-NET 代表
Taipei Computer Association(TCA) 東京事務所 駐日代表
NPO法人アジアITビジネス研究会 理事
独立行政法人中小企業基盤整備機構 国際化支援アドバイザー

◆アジアに進出する日本企業を支援するため現地視察やビジネスマッチング、技術アライアンスのサポートなどが主たる業務。1987年~1996年の台北駐在後、2001年からは本格的に中国に進出する日本企業の支援に取り組む。◆中国・台湾をはじめ現場でのヒアリングは延べ400社。徹底的に現場を回ることにこだわり、具体的な中国進出の事例やアライアンス事例から中小企業にとっての中国ビジネスの課題を考える。◆2003年からは自身の海外進出の経験やノウハウを体系化した『アジアビジネススキルアップ研修』を実施。異文化理解を基本としたDo‘s&Dont’sプログラム(海外進出の際の禁止事項、禁止フレーズ、注意フレーズなど)や参加体験型の研修内容には定評がある。http://www.asia-net.biz/20-0.pdf ◆2012年からは現地視察の注意点、展示会出展のノウハウ、自己紹介のテクニックや通訳を使いこなすテクニックなどをプログラムに取り入れた『海外市場開拓セミナー<実践講座>』を提供。各地の商工会議所や地方銀行などで採用されている。http://www.asia-net.biz/20-0.pdf ◆著書に「中国人とうまくつきあう実践テクニック」、「中国人との実践交渉術」(総合法令出版)、「知識ゼロからの中国ビジネス入門」幻冬舎、他。

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