増える中国本土での人民元預金口座開設 注意すべき点とは


  中国の経済発展に伴う人民元の将来的な切り上げ期待によって、中国本土で人民元預金口座を開設する日本人が増えている、と聞きます。中国本土での人民元預金口座開設は、パスポートを持参するだけで、中国の非居住者でも簡単に口座を開設することができます。

  但し、中国本土にUSD5,000相当以上の外貨を持ち込むときには税関への申告が必要となり、中国国外に人民元を持ち出す場合も同様に、外貨はUSD5,000相当まで、人民元は1回当たり2万元までしか持ち出すことはできません。

  中国の銀行から個人で海外送金する場合、年間5万USドルまでの送金が可能ですが、必ず銀行の窓口まで出向く必要があります。銀聯マークの付いたATMカードなら、中国国外で1日1万元までの現金引き出しが可能となりますが、事前通告なく、海外引き出しが出来ない時期もあり、中国の銀行口座は常に政策変更のリスクが伴います。

  2009年から人民元相場は、米ドルとの固定レート制を解除し、変動相場制に移行したことによって、人民元の切り上げ期待が膨らみましたが、実際には変動相場制と言っても、複数の通貨レートを参考にして人民元レートを決めるバスケット通貨制度になっているため、米ドルに対する人民元の上昇幅は緩やかな動きとなっております。

  また、中国はいまだに厳しい外為管理規制を敷いており、今後の人件費上昇に加えて、急激な人民元高は輸出企業に及ぼす影響が大きいため、短期的に人民元が一本調子で切り上がる可能性は考えにくい状況となりました。

  今後、中国の輸出企業の不振が続く場合は、逆に人民元を切り下げて、人民元安となる可能性もあります。人民元を保有するなら、将来的な人民元の国際化と自由化を見越して長期保有するのは良いかもしれません。しかし、個人が中国本土で保有する人民元を自由に外貨へ両替したり、自由に海外へ送金できるようになるまでには、まだまだ長い時間がかかりそうです。


香港活用も選択肢の1つに


  中国本土で人民元預金口座を開設する理由の一つとして、人民元預金の金利の高さが考えられます。確かに3年定期で4%を超える金利はかなり魅力的と言えます。

  しかしながら、資産運用の基本コンセプトとして、見た目の利回りばかりではなく、保有する通貨の流動性リスクを常に意識しなければなりません。いくら利回りが高い金融商品を保有していても、流動性の低い通貨で運用していては、景気変動で資産価値が急落したり、資産を売却したいときに買い手が付かない流動性リスクが伴うことになります。

  人民元建ての金融商品は、流動性リスクに関して言うと、まだまだ多くのリスクを伴います。

  一方、中国の特別行政区である香港は、一国二制度で中国の外為規制の影響は受けないため、ウォールストリート誌調査で香港の経済自由度は19年連続で世界一の評価を受けており、香港の銀行から外貨の両替と国外送金は自由に行なうことができます。

  昨年から香港非居住者でも、香港の銀行でオフショア人民元口座の開設が可能となり、人民元建ての金融商品を購入することも可能となりました。

  将来的な資金移動の自由度も考慮すると、香港は中国の経済成長の恩恵も受けながら、自由な金融取引が保障されたアジア随一の金融センターと言えます。皆様の大事なお金は、香港で活かすことをお勧めさせて頂きます。


木津 英隆

木津 英隆
http://www.kenshin.com.hk/

謙信アセットコンサルティング(香港)代表取締役CEO
1974年3月9日生まれ、長崎県出身、1996年青山学院大学法学部卒。ロイター通信(香港)、米系格付け会社S&Pを経て、2009年より現職。所属IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)のGRANDTAG社はアジア各国に600名の資産運用コンサルタント、25,000名の顧客を擁する香港系大手IFAの一角。お客様のライフプランに沿って、元本確保を最優先とし、オフショア投資商品、個人年金プラン、貯蓄型生命保険、相続対策商品などをご提案。また、香港の優れた金融サービス、投資優遇税制、年代別資産運用方法などについて、初心者にも分かりやすい小口投資家向け「海外で作る自分年金セミナー」を各地で開催。皆様に信頼して頂ける資産運用コンサルタントとなることを目指して積極活動中です!

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