「チャイナプラスワン」の課題 現地調達に苦労する日本企業


  「チャイナプラスワン」 中国に進出した製造業で使われる言葉だ。誰もが知っているように昨年の尖閣問題、もう少し遡ると漁船の体当たり事件と中国内で反日的な行動を起こさせる事件が起きている。

  昨年の尖閣問題でもそうであったが、中国における反日リスクは以前に比べ格段に大きくなっていると言わざるを得ない。それは従業員のストライキなど生産活動に大きな影響を与えることもあるが、市場としての中国において日本企業であることがリスクとなっている。

  この政治的リスクの他に製造業においては、労働者の賃金水準の急激な上昇というリスクも背負っている。以前のような賃金水準で労働者を雇うのは不可能となっている。もはや中国においても生産効率を追求することなしにはやっていけないのである。

  そうした製造企業では、カントリーリスクを避ける、中国一極集中を避けるためにアジアの別の国に生産拠点を設ける動きが強まっている。それが「チャイナプラスワン」である。その候補地は、ベトナム、タイ、ミャンマー、バングラディッシュなどがある。業種によってプラスワンの国選びは変わってくると思われる。

現地調達の難しさを痛感


  わたしがかつて関与していた電機系日本企業は、先陣を切るように中国に進出して、今では中国内に数箇所の拠点を有している。この企業は、尖閣などのチャイナリスクが起きる前から中国一極集中を避けるためにベトナムにプラスワンを求めて進出した。

  進出先のベトナムでは、「人」の面では中国で培ったノウハウを駆使して、教育し育成を進めてある程度想定通りに出来ているとのことであった。

  ところが、工場の生産で使用する部材の調達では、中国のようにはいかないことを痛切に感じることとなっている。

  中国工場では、部材の現地調達率は非常に高く、一部の特殊な部材を除いてほぼ現地調達が出来ている。これには日系の現地工場からの調達も含むのは言うまでもない。さすがに中国企業だけですべての部材を調達することは出来ない。

  一方、ベトナム工場では、日系企業からの現地調達が進まないこともあるが、中国では中国企業から調達出来ているものがベトナムでは現地調達できないのである。従って、ベトナム工場の現地調達率は思うように上がらず、日本を含めた海外からの調達が続いている。特に、ベトナムでは副資材の調達にも苦労をしている。

  比較的進んでいるベトナムでこの状況であるから、国によってはもっと大変なことになっていることは容易に想像できる。チャイナプラスワンを検討することは、リスク管理として大事なことだが、中国ほど工業インフラが揃っている国は他にないのもまた事実であることをよく認識しておく必要がある。


根本 隆吉

根本 隆吉
http://www.prestoimprove.com/

◆ 主業務:日系中国工場の品質管理体制構築、品質改善支援。
 現場管理のキーパーソンである班長の育成研修にも 力を入れている。
駐在員が能力を発揮することを目的とした駐在員コーチングも手掛ける。
◆ 電機系メーカーにて技術部門、資材部門を経て、香港・中国に駐在。
 中 国においては、購入部材の品質管理責任者として延べ100社に及ぶ取引先品質指導ならびに現場改善指導に奔走。
◆2007年より現職。生産の3要素で捉えた中国工場の品質管理の問題点と指導 のポイントをテーマにしたセミナーの実施多数。外観目視検査の精度アップセミナーの講師も務める。

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著書


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