北京で中央政府に直訴する地方の人たち


大連研修で必ず立ち寄るレストランと建物


  かつて行っていた大連研修で、農民用のレストランに幾度となく行った。そこは旅順への道筋を少し外れたところにあった。農民を乗せたバスが何台も昼食をとりに来ていた。彼等は何かの団体の招待で昼食を食べに来ていた。老人ばかりだったが、彼等の食事の量は日本人の2倍はあった。しかも、食べ始めてから30分もすると、すべて食べてしまった。日本人はその半分も食べることはできない。

  そうした光景を見せるために、大連研修の一環としてそこに研修生を連れて行った。そこのレストランには何十回も行ったが、日本人が食べられる料理になるまでは10回以上行かないと口に合わなかった。

  大連の田舎料理は日本人の口に合う物も多いが、合わない物も結構ある。トウモロコシのパンは少ししか食べられない。そこの餃子は日本の4、5倍あって、皮が厚くて、それを食べてしまうと他の物が食べられない。スープは基本的にどれでも日本人の口にあう。そこの名物はものすごく薄く焼いた餅で、これはうまかった。毎回、追加を頼んで、参加者全員に持ち帰ってもらった。

  ここら一体は平均的な中国の農村だ。このレストランは中国人の食欲とそのたくましさを見せるために大連研修では必ず寄る事にしていた。旅順は日露戦争で日本軍がロシア軍に勝った場所なので、かならず、ここを訪問した。旅順への道ではもう一つ必ず、寄り道するところがあった。それは地方政府の建物を参加者に見せるためだった。

  中国は地方政府は共産党とはいえ、それ以前に中国の歴史的な背景があり、1949年の革命とか文化大革命では消す事の出来ない官と農民との関係がある。地方政府は昔の庄屋と一緒で、今でも農民との生活レベルの格差は極めて大きい。

  大連から旅順に行く途中に立派な8階建て村の建物があり、その背後に官舎が建っている。この何もないところになんで8階建ての大きな建物が必要か疑問に思うがともかく建っていた。この10年間で、大連研修をする都度、100回近くここを通ったが、何度かそこのトイレを借りたが、大層立派なところだった。その近くの交差点には幾棟もの高層マンションが建設されていた。そしてその辺りの農民の貧しい家々があった。


地方の不正を告発するために北京にやってくる人々


  3月2日のエコノミストに地方から中央政府に直訴する人たちの記事があった。彼等は北京の馬家楼救済支援センターや久敬庄救援セインターに地方政府の横暴とか不正を告発するために北京にやってくる事が書いてあった。

  今まではそうした人たちはこうした直訴をする前に地方政府の役人が彼等を待ち構えて、拘束し、そうしたことを管理する外注業者に委託して彼等を故郷に強制送還していた。その際に、相当ひどい事もして来たようだ。今年になって北京の裁判所がこうした業者を処罰したが、地方政府の支給している金額が中途半端ではないので、一向になくならないようだ。

  この記事では政府の指導者達が取り締まる意図があったにしても、進展はゆっくりとしか進まないと言っている。というのはこうして地方からの嘆願者達を拘束する事は政府役人の全ての階層の利益にかなっているからだと言う。

  中央政府の役人は被害届を出す人たちが北京にきて、多分、大規模で、危険な抗議行動をすることをさせないようにしたいし、地方政府の下級指導者達の出世の可能性が地方から来た嘆願者達の北京での存在によって台無しにされうる事を恐れている。

  この記事では2010年に中国のメディアは3,000人の黒装束の従業員いる民間の警備会社の例を暴露し、彼らは現地政府の代わりに嘆願者を勾留して数百万ドルを稼いだと言っている。もう1つの事例では2010年と2011年に嘆願者達を久敬庄から1,000人以上を「独房」のような収容所に移動したそうしたビジネスをする一団が関わって来たことを昨年明るみに出した。

  こうした不正なビジネスを調査して来た中国人のジャーナリストはこうした「独房」を管理している人達の逮捕はこのビジネス自体が儲かるので、このビジネスはなくならないということだった。地方政府の役人達は頻繁に北京の通りから嘆願者達を捕まえて、彼らを直接こうした「独房」に送る為にこうした民間企業を使い続けている。

  政府のウェブサイトは馬家楼は1日に平均約540人の嘆願者達を受け入れて来ていて、7,000人もの数がこの施設に採用されていると言っている。北京のメディアはこのセンターが現在1日に5,000人もの数の嘆願者を扱うように設計されていると言っている。

  この数が何時頃までに達成されるかは明らかではないが、政府のウェブサイトは昨年の6月に北京の官庁を訪問した嘆願者は「劇的に増加」していたという。地方政府は彼ら自身でうまく処理するには設備が不完全で、そのため、「独房」の強い需要が依然として残っているだろう。

  問題の核心は「為穏」もしくは「安定した維持管理」に対する党の執着だ。近年、地方政府、国有企業そして「居民委員会」は不安の兆候に気を配ることを管理する「為穏」事務所のネットワークを設立して来た。潜在的な嘆願者を見つけることが彼らの主な仕事の1つだ。

  2月6日に著名な北京の弁護士のPu Zhiqiangは中国の最近退職した公安局長Zhou Yongkangを3つのマイクロブログを使って攻撃し、「為穏」の取り組みとしてこの国の中でこうした嘆願者達に「拷問を与えて」来たことに対して彼を糾弾した。Pu氏のアカウントはすぐに閉鎖された。とこのエコノミストの記事は書いている。一党独裁政権の運営にはこうした党の政策がまだ存在している。民主主義では理解出来ない部分だ。


海野 恵一

海野 恵一
http://www.swingby.jp/

スウィングバイ2020株式会社 代表取締役社長
■職歴
2001年 アクセンチュア 代表取締役 
2004年 同社 顧問(2005年3月 退任)
2004年 スウィングバイ2020株式会社 代表取締役
2007年 大連市星海友誼賞受賞
■主な社外活動
日本青年会議所  日中友好の会  特別顧問
環境を考える経済人の会21事務局 事務局員

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著書


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