逃がす日本人VS攻める中国人 「三国志」に見る価値観の違い


  「三国志」(中国では「三国演義」と呼ばれる)は日本でも中国でも大人気な作品です。しかし、同じ人物に対して、同じ物語を読んでも日本人と中国人の受け方がおそらく違うでしょう。私の知り合いの中も、「三国志」を愛読している方が結構多くいます。私たちもよく「三国志」をテーマにしていろいろ議論していました。

  例えば関羽という武将は、忠義のシンポルで中国では神格化され、「関帝」という神様として祭られました。赤壁の戦いで、彼は華容道で大敗して逃げてきた曹操を待ち伏せていましたが、昔お世話になった恩義を返すために曹操を逃がしたことは、日本人から見るとむしろ大将の美徳だと感じられるかもしれません。しかし、多くの中国人から見るとこれは大将失格にほかありません。

  日本人は相手に逃げ道を与えるのが一般的な考え方です。相手に自ら過ちを反省してくれるように期待しています。極端な例かもしれませんが、作家の堺屋太一さんが「神道には地獄の概念がない。」と言ったように、日本人は死んだ人がみんな神様になってしまうと思うため、どんなに悪い人でも一旦死んだら、世間は彼の罪に対してもう糾弾しなくなります。

  一方、中国の場合は十八層地獄説がありますから、人を常に善人と悪人を決めておきます。悪人はたとえ死んでしまっても永遠に悪とされて地獄に落として苦しませます。代表的な事例として、南宋名将の岳飛を謀殺した秦檜を憎む後世の人たちは、杭州の岳王廟に秦檜夫婦が跪いた像を建てて、その像に唾を吐きかける習慣までできてしまいました。

  また、中国人は相手の弱みにつまらない情けをかけると、敵に立て直す余裕を与えてしまい、かえって自分が危険な立場に身を晒される恐れがあると思うから、徹底的に相手を攻め続きます。これはリーダーとして求められる素質だと教わってきました。

  中国の春秋時代、宋の国と楚の国と戦いがありました。楚の軍隊が泓水の川を渡って攻撃をかけてきました。弱小の宋軍にとって、隊列が乱れた楚軍が陣を敷かないうちに攻撃するのは絶好のチャンスにもかかわらず、宋の襄公が「君子は人が困っている時に苦しめるような真似はしない」と攻撃を止めました。

  結局、宋軍は川を渡りきって陣を整えた楚軍に大敗して、宋の襄公も負傷して命を落としました。後世には宋の襄公のことをよく「婦人の仁」と非難され、一国の主として失格だと言われ続きました。


林 剛

林 剛
http://jp-vision.jp/

株式会社ジェーピービジョン 代表取締役
中国出身。来日12年。宮崎産業経営大学を卒業後、建設会社、商社を経て、2011年に株式会社ジェーピービジョンを設立、代表取締役就任。現在日本の中小企業に向けて中国調達・中国進出事業をサポートさせて頂いております。日本のことを積極的に中国に発信、中国のことを正しく日本に伝えることが自分の使命だと思います。 

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