中国ビジネス交渉 通訳の限界を超える「中国交渉代理人」


  前回は、2つの顔を持つ中国人と交渉実例をあげながらお話しましたが、今回は中国企業と交渉する際に、日本企業が陥りやすい失敗パターンについてお話します。

  知り合いのA社長さんが行っている中国事業に関してお話をしていると「うちの中国責任者の唐君は、全然ダメだ! まったく、わかってない。通訳の曹君の方が、断然良い。」と、大変、ご立腹されていました。

  事情を良くお聞きすると、次のような内容でした。A社長とその会社の中国責任者の唐君が、新規取引先でビジネス交渉を行ったそうです。結果としては、有利な条件で、まとまったそうですが、でもA社長は、怒り心頭だったそうです。

  なぜかと言うと、中国責任者の唐君は、責任者であるので社長の意向を汲んで一生懸命交渉したのですが、交渉に一生懸命になりすぎたあまり、通訳をあまりせず、10分に1回程度、途中経過だけを話し、交渉をまとめたようです。その間、A社長は、ただ、交渉のなりゆきを見ているだけになり、半ば、A社長が無視された状態で交渉がまとまった事に怒っていました。

  これならば、以前の通訳の曹君の方が良い、ちゃんと、丁寧に通訳してくれる。通訳の曹君が安心して交渉できる。それで、A社長に、唐君と曹君では、どちらが交渉をまとめる確率が高かったのかを尋ねてみると…。唐君の方が多いかなぁ… でも、曹君は、通訳だから、私の交渉のさせ方が悪かっただけで曹君が悪いわけでは無い。

  私も、前職の○○電器時代、海外営業部に在職していた関係上、通訳を引き受けることがありました。通訳は、70%程度相手に伝われば大変良い通訳とされてます。自分の意思や気持ちを通訳を解して100%伝えることは、不可能であり、70%が限界といわれています。

  一般の観光や簡単な商品説明などは、通訳の方がいれば十分事足りるとおもいます。しかし、中国のビジネス交渉においては、通訳を介して行っていては、通訳の限界値70%よりも遥かに低く、良い交渉結果を出すことは至難の技だと思います。

  前回のコラムでも、お話しましたが、実際の中国人どうしの交渉、お店でも、会社間でも、そうですが、中国人同士の交渉の場にいると大阪のおばちゃん達が、すごい早口で喧嘩しているような感じで交渉します。中国では、実際に、この大阪のおばちゃんのような中国人と交渉しなければなりません。

  中国語の流暢な通訳だけでは、中国語の大阪のおばちゃんには太刀打ちできないと思います。喧嘩している時に、ちょっと待って、今通訳するから、と言って中断しながらやっても喧嘩にもなりませんし、相手は苛立つだけで話はまとまりません。中国ビジネスの交渉を優位に導くためには、こうした通訳を介してビジネス交渉を行うのには限界があります。

  それゆえ、私達が、中国ビジネスで交渉する時には、通訳を介して交渉するのではなく、中国交渉代理人を立てて交渉にのぞみます。

  この中国交渉代理人とは、大阪のおばちゃんの気質と経営感覚を持ち合わせ、中国の経営者と日本の経営者の事を理解できる人が望ましいと思います。(先述の会社の社長の唐君のような人)

  中国で、交渉する際には、交渉の数日前からミーティングを中国交渉代理人と重ね、様々なパターンと極論を中国交渉代理人と綿密に打合せをしておきます。そして、交渉当日は、先ほどのA社長の唐君の時のように、途中経過だけを聞き、後はどっしり構えて、戦況を見守ることにしています。最初の頃、私もA社長のように、全く無視されたと怒ってましたが、この方法が、今では、中国でのビジネス交渉はベストだと思っています。

  目には目を、大阪のおばちゃんには大阪のおばちゃんを、中国のビジネス交渉では通訳ではなく、中国交渉代理人を立てる。その中国交渉人は、中国のグレーゾーンも理解し、中国人の2つの顔と交渉できる人がいれば、中国での交渉も、良い条件が引き出せると思います。


庵 博文

庵 博文
http://seamans.jp

株式会社 SeaMans Japan 代表取締役
2010年に自社開設した中国向けECサイトxinwei日本季。中国の若い女性に対する日本ファッション販売を、新浪微博達人のモデル、タレントに盛り上げてもらって実現している。本業のソフトウェア開発で20年以上取引のある中国との架け橋となるべきだという使命感から、ECサイトの準備、運営、集客を通じて得た経験と自らが利用しながら構築してきたシステムを、2012年からは日本国内企業に提供開始している。
中国のECユーザ集客に使用した新浪微博では9万人の粉丝を獲得するに至り、中国に進出した日系企業中4位となる。中国進出前は勿論、進出後にも発生する様々な問題のサポートを、南京にあるSeaMans Chinaとの協力体制により実現する。
中国向けECサイト:http://xinwei.co.jp/
新浪微博アカウント:http://weibo.com/jxinwei
日本国内企業サイト:http://seamans.jp

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