日系企業の中国人管理職の評価に見られる2つの傾向


  中国人社員に組織のポジションを委譲し、少しずつ部門や経営を中国人幹部に渡していく現地化の課題は、多くの日系企業が進出当初から目的においているところではあります。

  私の知っている日系企業でも、日本で採用している中国人社員を現地の総経理に任命したり、組織上、日本人駐在員を中国人管理職の下のポジションにつけたりと、様々な工夫をされているところも近年目につくようになってきました。

  この現地化を図っていく上で、人事管理上の課題として、中国人管理職が公正に部下の中国人社員を評価できる能力を持っているかということがあると思います。評価をいつまでも日本人管理者が行っているのであれば、なかなか現地化の途は遠いものとなってしまいます。

  日系企業の中国人管理職の評価に関する傾向を見ておりますと、「全員に対し良好な評価(評価レベルでいうところのA評価)をつけてしまう」という、評価が甘くなってしまう傾向と、逆に「好き嫌いが評価に強く影響し、自己の業務の足を引っ張る部下に対しては、非常に悪い評価をつけてしまう」傾向が多いようです。

  上海のように社員がお互い、人間関係が希薄で、仕事を中心とした付き合いしかない地域では、比較的業務遂行の能力に基づいた評価が行えますが、少し地方都市になりますと、地元出身の社員が多くなり、幼い頃から顔見知りで、親同士の付き合いもあり、そのような場所に設立した企業は更に評価に悩むことになります。なにしろ社員が皆、家族ぐるみで顔見知りですから、悪い評価など付けようものなら、それこそ家に帰って何を言われるかわかりません。まさに村八分になってしまうわけです。

  中国人管理職が評価を公正に行えるようにするためには、いくつかの方法があります。よく考課者訓練を実施しなければならないという意見も耳にします。もちろん評価に関するトレーニングも必須ですが、即効性はありません。また、評価の時期になってしまうと、トレーニングで学んだことも忘れ、従来の評価に戻ってしまいます。

  私は中国での評価は、目標管理のように定量で評価し、絶対評価として評価を行うもの以外は、「相対評価」で評価を行うことが良策と考えています。もちろん評価者である中国人管理職の評価能力の向上に伴って、絶対評価に移行していくことも念頭に。相対評価であれば、昇給や賞与の原資もコントロールしやすくなります。ただ、ある程度の母数があるグループでしか相対できないという欠点はありますので、部門を跨いだ相対区分が必要かと思います。


清原 学

清原 学
http://ameblo.jp/preseed/

プレシード 上海基望斯企業管理諮詢有限公司 CEO
中国の人事労務事情、中国労働関連法の第一人者。学習院大学、東京工業大学大学院研究科修士課程。共同通信社、アメリカAT&Tにて勤務後、財団法人社会経済生産性本部にて組織人事コンサルティングに従事。上海・大連・無錫・ホーチミン・香港の駐在を経て、2004年プレシード設立。中国進出日系企業の組織構築、人事制度設計、労務アドバイザリーに携わる。企業の代理人として中国労働組合との交渉、労働仲裁・和解の法廷にも立つ。独立行政法人中小企業基盤整備機構国際化支援アドバイザー、ジェトロ上海センター人事労務相談契約、兵庫県中国ビジネスアドバイザー、神戸学院大学東アジア産業経済センターアドバイザー、京都外国語大学非常勤講師等を務める。上海在住12年。ユーモアを交え、中国の労働法制度からその社会的背景まで鋭く切り込む語り口は、多くの聴衆を惹きつける。中国と日本を往復し、各地自治体、商工会議所、経営者団体等での講演多数。

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