オフショア開発成功を左右する発注先選定。最重要ポイントは?


  オフショア開発とは、ソフトウェア開発を海外にアウトソーシングすることです。

  “オフショア開発”という言葉自体が存在しなかった1990年代半ば頃から、インド、中国、フィリピン等を中心に徐々に本格化し始めました。現在は、ベトナムやその他の諸外国、最新ではミャンマーも脚光を浴び始めたのは記憶に新しいことだと思います。

  1.失敗事例より圧倒的に多い成功事例

  弊社は中国オフショア開発のコンサルティング会社であるため、これから新たにオフショア開発を行おうと検討されている日本企業の経営者や管理者の方々のお話を伺う機会に恵まれています。例えば、下記のようなご意見を伺うことがよくあります。

「オフショア開発に興味はあるのだが、否定的な情報も多く不安がある」

「オフショア開発で痛い目に遭った知人がいる」

「巷の情報や噂を聞くと、到底、成功させるのは難しいように思える」

  等々です。

  そんなとき、私は「是非、現地視察をしてみてください。印象がガラリと変わると思います」とお応えするようにしています。百聞は一見に如かず!見ると聞くとでは大きな違いですね。

  確かに様々なメディア上にはネガティブな情報も少なくありません。これらの情報にも一理あるものもありますが、かなり極端過ぎるものも少なくないとも感じています。中国にも日本と同様に、いろいろな会社があります。ネット上に掲載されているネガティブ情報に相当するような会社も少なくないのも事実です。

  しかし、失敗事例以上に多くの成功事例が存在しているのも事実です。常時、オフショア開発プロジェクトを成功させている発注者にとっては、成功することが、ごくごく普通のこと、当然のことであるため、わざわざネット上に成功事例を掲載しようとは考えないでしょう。また、もし仮に失敗ばかりしていたら、リーマン・ショック後、オフショア開発市場の売上高グラフが再び右肩上がりに転じることもあり得ませんね。

  実際、弊社が創立以来、約8年間、サポートさせて頂いた案件で考えますと、多少の納期遅延やコミュニケーション不足によるトラブルが発生してしまったことはありましたが、充分にリカバリーできるレベルでした。オフショア開発に限らず、どんなプロジェクトでも多少の課題や問題事項が必ず出て来ますので、ほとんどはごく普通に成功していると言っても良いかもしれません。

  また、ある記事では、「納品した成果物が全く使い物にならず、結局、自分たちで作り直した」というような致命的なトラブル、失敗事例が紹介されています。

  しかし、通常では、このようなことは考えにくいことだと思います。例えば、コーディング規約等、開発標準を予め準備したり、仕様上の不明確事項をQ&A形式で全て潰したり、中間成果物にチェックを入れる取り決めをする等、基本的なことを堅実に行ないさえすれば、このようなことはまずあり得ないのではないかと思います。もちろん、こういったことに柔軟に応じてくれる発注先を選定することが必須条件になります。

  2.オフショア開発成功の鍵

  オフショア開発成功の鍵は発注先選定にあります。私の感覚的な数字ではありますが成功要因の80%は、最適な発注先選定が出来るか否かにかかっていると思います。

  では最適な発注先とはどのような会社なのでしょうか?私は次のように考えています。

  案件の内容に技術的にマッチした会社である必要はありますが、さらに重要な条件としては「経営トップとコアメンバーの信頼関係が厚く、コアメンバーがほぼ100%定着している」企業と考えています。この他にも技術力、管理力、ノウハウ、コアメンバーの過去の経験等、様々な条件がありますが、コアメンバーがその会社に長年定着しているかどうかは非常に重要なチェックポイントだと思います。

  さらに発注者としては、発注先の経営トップとコミュニケーションを充分に図り、会社対会社で、親密かつ対等なパートナーシップ、中長期的な取引を行うスタンスで臨むことも重要だと思います。最適な発注先選定を行い、現場レベルでの良好なコミュニケーションを図りさえすれば、プロジェクトを確実に成功させるしくみが自然に出来てきます。

  特に初めて取引を行う場合、大概の受注者は発注者の仕事の進め方に合わせようとします。オフショア開発経験が豊富な受注者であれば、万一、発注者の仕事の進め方に問題を感じた場合、必ず問題提起してくるはずです。発注者としては、その声に耳を傾け、よく話し合いながらプロジェクトを進めれば、自ずと結果が出てくると思います。


末富 昌幸

末富 昌幸
http://www.jp-snic.com/

SNIコンサルタンシー(上海聶欣信息諮詢有限公司)総経理
日本電気株式会社入社後、1995年よりNECグループの中国オフショア開発推進・拡大業務に従事。2004年1月独立、中国上海に渡り、同年3月、SNIコンサルタンシー(上海聶欣信息諮詢有限公司)を設立、同社総経理に就任。中国全土20都市、800社以上のソフトウェア会社を訪問調査(新規パートナー開拓)し、各種業務アプリ系はもちろんこと、組込み系、制御系、ミドルウェア系、ウェブ系、スマホアプリ系や、さらには回路設計等、ハード設計から中国現地生産ラインの立ち上げまで、各分野ごとに強みを持つオフショア開発パートナー約60社と提携。日本企業様への中国オフショア開発コンサルティング事業を開始。その他、日本企業様の中国市場進出コンサルティング(販売サポート、販売チャネル構築等)や上海近郊の日系企業様向けのITソリューションサービス(発注先パートナー選定サポート、パッケージ選定サポート等)等、各種サービスで事業展開中。

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