- 「良い通訳」と「悪い通訳」の見分け方 上手な「通訳の使い方」
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日中ビジネスと「通訳」(下)
前回は日中ビジネスの現場における「通訳」の重要性について、「中国人通訳におんぶに抱っこ」がいかに危険かという観点からお話しました。今日は一歩踏み込んで、「通訳」をどう使うかということを考えてみたいと思います。
まずは、良い通訳と悪い通訳の見分け方です。
一定の外国語運用能力、自国語表現能力をクリアしているという前提ですが、良い通訳とは、(1)文化的タブーという「地雷」をじょうずに取り除ける人で、(2)話者の話した内容が曖昧であったり、専門領域の問題で通訳がその内容を理解し得なかったような場合にでも「聞き返す(=確認する)」ことを恐れない責任感と勇気をもった人です。
さらに、(3)異文化コミュニケーションに慣れていない(=通訳を使うことに慣れていない)話者をじょうずにリードすることができれば、逐語通訳者としては、ビジネスの最前線で一応立派に仕事をこなせる人だとみていいでしょう。
では、悪い通訳、とはどのような通訳者を指すのでしょうか。
もちろん外国語運用能力や自国語表現能力で一定水準に達していなければ話にならないのですが、そこが合格点であった場合、(1)話者の話した内容をじゅうぶんに理解していない-つまり、わかっていない--”訳す(=取り繕う)”、より悪質なのは、前回も触れましたが、特定の利益誘導をおこなうために”訳す(=歪曲する)”という場合でありましょう。要するに、能力というよりも、誠実性の原則を欠いているわけです。
通訳者がどこの人であろうと、こうした「悪い通訳」を使うことは絶対に避けねばなりません。非常に危険です。
しかし、話者のほうでも、通訳を使いこなすには一定のノウハウを積む必要があります。一般的に、外国語を苦労して勉強し、身に付けた経験が無い人ほど外国人に対して複雑な言い回しを平気でしてしまうものです。<わたしは>という主語を省きがちな日本人特有の言い方はもちろん、「…というわけでもありませんが」、「どちらかといえばやはり…」といった持って回したような言い方をついついしてしまうのです。
ビジネス通訳で百戦錬磨のベテランならいざしらず、まだ外国語運用能力にじゅうぶんな自信を持てない通訳に対しこういう言い回しをしてしまえば、いったいどの程度コミュニケーションが図れるか、知れたものではありません。(どんなに優れた通訳を介しても、【第三者=通訳】を介した異文化コミュニケーションの伝達度は60~70%がせいぜいなのです)
ほんとうは、このテーマ(ビジネス通訳、商談通訳における問題点と解決法)だけで一冊の本が軽く書けてしまうほどなのですが、紙幅の都合がありますので、以下、話者が心掛けるべき最注意点を二点だけ挙げておきます。
第一に、話者が注意すべきは「文体」です。とくに能力の低い通訳者を使わざるを得ない場合-原則的には、いかなる通訳者を使う場合でも!-しっかりと「わたしは~」という主語を明示した単純構文を心がけましょう。基本はYES、NOを明確に伝えること。話し方としては、第一点は~、第二点は~と、主張のポイントをはっきり打ち出すことです。
第二に、これは通訳の使い方というよりは、むしろ交渉全般にわたる留意点ですが、書面確認の重要性を再認識するということです。通訳をじょうずに使う努力を払いつつ、それでも重要な協議ポイント、協議内容はかならず書面にして跡づけるのです-しかも文書化のイニシャティヴも握るべきです-。これにより、話者(=交渉人)は通訳が犯した誤解や曲解を正す機会を確実に与えられるのです。
問題改善のために、ほんの二点注意点を挙げさせていただきましたが、これらに注意を払っていただくだけで、実務上一定の効果が期待できるはずです。みなさんの中国ビジネスのご成功をお祈りします。
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