中国の「工会」の仕組みと決まり 「労働組合」とは性質が異なる


●中国の「工会」は日本の「労働組合」とは性質が異なり、社会主義の特徴を有している。

  中国の「工会」の組織、権利・義務、経費等は「工会法」によって規定され、「共産党の指導を受ける」ことが基本とされている。中国国内の企業(外商投資企業を含む)、事業単位、機関及びその他の社会組織の主に賃金収入により生活する労働者は、民族、人種、性別、職業、信条、教育程度を問わず、中国工会全国代表大会が定めた「中国工会規約」を承認すれば、全て「工会」に加入し、組合員となることができる。

●企業の管理責任者、人事責任者、外国籍従業員は企業工会の主席になることはできない。

  「工会法」、「中国工会規約」、「企業工会活動条例」、「企業工会主席選出弁法」等の関係規定によると、企業の工会は以下のとおりである。

(1)    企業は、組合員が25名未満の場合、工会委員会を設立することができ、又は組織者1名を選出し、組合員を組織して活動を展開させることができる。

(2)    企業は、25名以上の組合員を有する場合、工会委員会を設立しなければならない。工会委員会は、組合員大会において民主的選挙により選出される。任期は毎期3年又は5年である。企業の経営管理部門の責任者、共同経営者及びそれらの近親者は、当該企業の工会委員会の委員となることはできない。

(3)    従業員が200名以上の企業は、専任の工会主席を設置する。工会主席は、組合員大会において直接選挙により選出することができるが、工会委員会が選挙により選出することもできる。企業の経営管理責任者(副職を含む)、共同経営者及びそれらの近親者、企業の人事責任者、外国籍従業員は企業の工会主席になることはできない。

  なお、工会主席、副主席又は委員の労働契約期間が任期より短い場合、労働契約期間は自動的に任期満了までに延長される。

企業は従業員による工会の設立を妨害してはならない。

  外商投資企業の「工会」は、「工会法」、「中外合弁企業法」、「中外合作企業法」、「外資独資企業法」等に基づき設立される。「工会法」第3条によると、従業員は「工会」を組織する権利を有し、いかなる組織又は個人もこれを妨害し、制限してはならない。

また、「中外合弁企業法」、「中外合作企業法」、「外資独資企業法」等の外資関係規定(以下、「外資関係規定」と総称する)は、外商投資企業の従業員は法に従って「工会」を設立し、組合活動を展開し、従業員の合法的権益を守るものとし、外商投資企業も当該企業の「工会」活動に必要とする条件を提供しなければならない、と明確に規定している。

もっとも、上記規定は外商投資企業に対して「工会」の設立を義務付けているわけではなく、外商投資企業は従業員による「工会」の設立を妨害してはならないというにすぎない。

なお、「外資関係規定」によると、外商投資企業の「工会」の基本的な任務は以下のとおりである。

(1)    法に従って従業員の合法的権益を守ること

(2)    企業による従業員奨励福利基金の合理的な手配及び使用に協力すること

(3)    従業員の政治・科学技術及び業務知識の学習を組織し、文化・スポーツ活動を展開すること

(4)    労働規律を守り、企業の経済諸任務の達成に努めるように従業員を教育すること

  外商投資企業が従業員の賞罰、賃金制度、生活福利、労働保護及び保険に関する問題を検討し、決定する場合、「工会」の代表は会議に列席する権利を有する。外商投資企業は「工会」の意見を聴取し、「工会」の協力を得なければならないこととなっている。

●企業は全従業員の賃金総額の2%を工会経費として拠出しなければならない。

  「工会法」、「外資関係規定」によると、企業は、毎月、全従業員の賃金の実際支給総額の2%に相当する金額を「工会」の経費として支給する。企業が正当な理由なくして「工会」の経費の支払いを延滞又は拒否する場合、企業の工会及び上級の工会は、現地の人民法院に支払命令を申し立てることができる。支払命令を拒否して履行しない場合、工会は、法により人民法院に強制執行を申し立てることができる。


翁 道逵

翁 道逵
http://www.vbest.jp/

(Weng, Daokui)
弁護士法人ベリーベスト法律事務所パートナー(中国弁護士)
2001年 中国華東政法大学法学部卒
2006年 中国律師資格取得
2007年 日本国東京大学公共政策大学院修士課程卒業
2006年3月~2014年7月 日系、外資系の法律事務所の外国弁護士
2014年6月 上海正策律師事務所パートナー
2014年8月 弁護士法人ベリーベスト法律事務所パートナーとして入所
2014年10月 日中投資促進機構理事就任

中国律師資格取得後の10年間は、日系企業の訴訟案件、中国進出、中国事業の統合、撤退・清算、労務関係、競争法関係等を中心に様々な案件に取り組んで参りました。

今後は、これまでの経験を基礎として、中国企業の日本への投資案件にも対応できるよう努めて参りたいと考えております。皆様にご満足いただけるよう日々研鑽に努めて参ります。


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