ちょっとだけ日本語を直してあげよう 正しい表現の必要性

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微妙に怪しい日本語3  「貿易したいです!」

さて、日本で働く中国人社員の、直してあげたい日本語シリーズ。今回は3回目です。ほとんどは中国語からの翻訳調で語ってしまうために日本語らしくなっていない表 現である。しかし、良い仕事をするためには正しい表現が不可欠で、周囲の日本人社員にはぜひ、「ちょっと違うよ~」と指摘してあげて 欲しい。日本企業に就職するくらいに人なら言えばすぐにわかる。本人のためである。

面接でよくある会話。

面接官(日本人) 「どんな仕事をしたいと思っていますか」

応募者(中国人) 「貿易したいです!」

これはおそらく、中国人社員の面接を担当したことのある人なら、かならず耳にしている。「貿易したいです!」

鉄鋼メーカーにいても、アパレル商社にいても、カスタマーサービスを担当していても、未経験の新卒の留学生でも、希望の仕事はと単純に聞くと「貿易」と答える。しかし、残念ながら日本語では、仕事の種類を言う時に貿易という単語を使うことはまれなので、何がしたいのか良く伝わらない。日本語での「貿易」は主に経済用語や統計用語である。主に「日中貿易」や「貿易額の推移」などに使われる。どうも彼らは国境をまたぐ経済活動を全て貿易と言っているようだ。しかし、職種を現わすのであれば、購買、調達、生産管理、物流、海外営業、国際物流など様々な単語があり、業種を言うのならおそらく商社がもっとも相応しい。

もちろん、彼らがそうした就活専門用語を知らないのも無理はない。ただ、「貿易がしたい」と言われても日本人には具体的なイメージが湧かないので、「交流が好きです」と同様、残念ながらアピール力に欠けてしまう。ぜひとも指摘してあげたいものだ。

ここまで取り上げた3回はいずれも翻訳調であるためにピンと来ないことの例だ。「中国語だったらそれでいいんだけど、日本語だったらそうは言わない、こう言ったほうがしっくりくる」ってやつである。「こなれた日本語」という言い方があるが、ちょうどそれが当てはまる。日本人でも、英語や中国語などを実際に使っている人なら、こなれた表現を使えるようになりたいと思っているはずだ。であるならば、日本語を使って奮闘している中国人社員を支援してあげよう。翻訳調を卒業し、こなれた表現を使えるようになったらたいしたものである。

井上 一幸

井上 一幸
http://www.asiastar.co.jp/

アジア人財カンパニー株式会社 代表取締役
昭和61年 開成高校卒業
平成2年 東京大学経済学部卒業
日本生命保険相互会社で約8年勤務ののち、海外留学、海外勤務。帰国後の外資系勤務を経て、平成14年から香港経済貿易代表部投資推進室室長。
平成18年から現職。アジア人財オフィスワーカーの人材紹介と「ワンランク上の日本語」研修をスタート。
TOEIC 980点(平成21年)、日本語教育能力検定試験 合格(平成21年)

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