微妙に怪しい日本語2 「こんなにも素敵な私!?」

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前回から、日本で働く中国人社員の日本語、「なんとなく意味はわかるんだけど、ちょっと違うよなぁ、 今の言い方・・・」といった表現を取り上げている。今回はその2回目。そのほとんどは中国語からの翻訳調で語ってしまうために日本語らしくなっていない表現であるが、良い仕事をするためには正しい表現が不可欠なので、周囲の日本人社員も、わかるからいいや!ではなく、「ちょっと違うよ!」と指摘してあげて欲しい。本人のためである。

転職希望者の履歴書で散見される自己PRに、次のようなものがある。きっと見たことのある人も多いはずだ。

「両親の寵愛を一身に受けて育ってきた私は……」

「高校を卒業してすぐに日本に来て、アルバイトを続けながら苦労して大学を卒業した私は……」

「性格が明るく、交流が好きでコミュニケーションが得意な私は……」

こういった表現を始めて目にした日本人は、思わず笑ってしまうか、顔をしかめるに違いない。なんでそんなにも自分をほめるのか・・・?

自己PRとして考えれば、自分をほめているのもわかる。しかし違和感の原因は、主語である「私」を長い言葉で修飾し、それが客観的事実であると断定しているかのように聞こえることだ。それが自分をほめているとなると、履歴書としては不適切である。

少なくとも日本人の意識では、「私」を判断するのは私自身ではなく、それを見る企業の担当者だ。だからなおさら「私」のことを断定的に語ったりはしない。だからこのような文を目にすると、人によっては「この人、なんか変」という印象を持ってしまったり、「自分のことをこんなにもあからさまにほめるなんて、いったい何様だろう」という気持ちになったりするわけだ。ところが、当の本人には悪気もなければ自慢する気もなく、傲慢さのかけらもない。日本語ではそれが不自然な表現だと知らないだけである。これでは本人がかわいそうだ。ぜひとも指摘してあげたいものである。

井上 一幸

井上 一幸
http://www.asiastar.co.jp/

アジア人財カンパニー株式会社 代表取締役
昭和61年 開成高校卒業
平成2年 東京大学経済学部卒業
日本生命保険相互会社で約8年勤務ののち、海外留学、海外勤務。帰国後の外資系勤務を経て、平成14年から香港経済貿易代表部投資推進室室長。
平成18年から現職。アジア人財オフィスワーカーの人材紹介と「ワンランク上の日本語」研修をスタート。
TOEIC 980点(平成21年)、日本語教育能力検定試験 合格(平成21年)

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