- 中国高速鉄道事故の2つの原因と1つの本質
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起きるべきして起きたと各界から叩かれまくりの中国高速鉄道事故だが、ようやくその事故の本質が明らかになろうとしている。というのもサーチナによれば、中国鉄道事故の調査団長である国家安全生産監督管理総局(国家安監局)の駱琳局長が「現段階の調査で、今回の事故はシステム設計に重大な欠陥があり設備故障を引き起こしたと同時に、故障後の応急措置や安全管理面にも問題があったことが明らかになった」と述べているからだ。
つまり、システム障害と設備故障、加えて故障後の対処が、今回事故の根本的原因だというのだ。
前者のシステム障害および設備故障について言えば、サーチナが伝えるところの「(試運転では世界最速を記録した)中国の鉄道技術は海外の技術を「消化、吸収、再革新」した成果」という今回事故以前になされていた中国側の主張は、あんまりな皮肉となってしまったような感がある。
海外の技術を「消化、吸収」しきれなかっただけでなく、「再革新」する際に、場当たり的でとにかくカネ優先の中国技術品質がまかり通ってしまったらしい。この点、スラッシュドット・ジャパンの「こんなに早く原因が分かるってことは事前テストで問題が発覚していて, それを承知で(滅多に起こらない条件ということで)運行を強行なんて可能性もあるのかも」とか「さすがに無試験で動かすようなことは…いやいやいや…」とのコメント を、絶対にないと誰も否定し切れないところに、この事故の根本原因がかいま見える。
しかし後者の故障後の対処について、駱琳局長は「起こるべきではない、完全に回避・防止できた重大責任事故だ」と人災の要素を指摘しつつも、責任の所在は明らかにしなかった。誰が、いつ、どのように故障後の対処を誤ったのかは今後を待たねばならないが、これについてはもしかすると、真実はお蔵入りになってしまう可能性もある。
というのも今回事故の人災面に関しては、グレートファイヤーウォールを越えてツイートしている中国知識層の人々が既に、一種の陰謀論‐政治的権力闘争、特に国内外の世論操作の面での、反胡錦濤側勢力関与の可能性を指摘しているからだ。
駱琳局長の報告は、この機会に反胡錦濤側勢力を一掃しようとする胡錦濤側勢力の反撃開始のようにも見えなくもないが、結局これといった証拠を見つけられず、胡錦濤総書記の顔が世界的につぶれたままスケープゴートが祭り上げられるだけなのかもしれない。
つまり、中国共産党の最高指導者でさえ寝首をかかれるような事態が実際に生じてしまう政治的土壌が今回事故のもう一つの根本原因である可能性を、当の胡錦濤総書記側が自ら認めてしまったかのような異常な構図が生じつつある。本件に関心をお持ちの方は、胡錦濤、江沢民、習近平、鉄道省、上海閥、ゴールドマン・サックスあたりのキーワードでGoogle先生または百度先生にお伺いを立ててみるのもいいだろう。
今回このように中国鉄道事故の調査団長によって指摘された二つの根本原因、つまり場当たり的でとにかくカネ優先の中国技術品質と、国の最高指導者でさえ阻止しきれない政治的権力闘争はどちらも、実は同じ根から発している。それはひと言で言えばカネの追及、しかも社会挙げてのカネの追及だ。
これらのことを念頭に置いてウォールストリート・ジャーナル日本語版に紹介されたネットユーザーの書き込みを読むと、正直身震いせざるを得ない。「1回の落雷で列車衝突が起きてしまうほど国が腐敗すると、トラック1台が通ると橋が落ち、何袋かの粉ミルクを飲むと腎臓結石になる。だれも例外ではない。中国は今や雷雨の中を走る列車だ。われわれは見物人ではなく、列車の乗客なのだ」とある。
なんと、粉ミルクしかり高速鉄道しかりの近年の一連の出来事すべてが、この、社会挙げてのカネの追及の代価であるらしい。
こうした「我々庶民はいつでもカネの追及の犠牲者、今や富裕層までが例外ではなくなった。やれご愁傷様」という国情に対する中国人自らの自嘲また自虐めいた書き込みを読むにつけ、中国国外での今回事件の報道の多くがいかに事の本質とかけ離れており、しかも現地の一般庶民の空気をいかに読み損ねているかが分かろうというものだ。先に引用したスラッシュドット・ジャパンのコメントの中にも「日本人としては心情的に「中国はまだまだだね、日本は優秀だね」って話で片付けたくなる」とあったが、日本と中国という単語をそれぞれ互いに置き換えてみれば、その偏向の程度というものが見えてくる。
本質はそんなところにはない。だから首都・北京の庶民は見たところ、この事件に対して「天災」以上の感想がないようにも見える。それが誰からの誰に対する誰のための「天災」なのか、はたまた「人災」なのかはさておき、一般庶民の彼らに とっては、事の本質、中国での一連の悪しき出来事を生じさせている社会挙げてのカネの追及というこの亡者と自分がいかに対峙するかの方が、 どうやらよほど重要らしい。
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