オフショア開発市場、1000億円ライン復活、さらに伸びる可能性大?


最近の中国のオフショア開発はどのような状況になっているのでしょうか?
今回はこんなお話しをしたいと思います。

1990年代から始まったオフショア開発(海外へのシステム開発委託)は、賛否両論、試行錯誤しながらではありますが、実績としては、90年代後半から大手SIerが牽引役となって、右肩上がりに、かつ、確実に市場規模を大きくしていきました。

2008年までは順調に市場規模を伸ばしてきましたが、先のリーマン・ショックにより、オフショア開発市場も例に漏れず大打撃を受け、2009年は急激に需要が落ち込み、多くのオフショア開発企業が、大幅なリストラを敢行し、不幸にも、倒産、閉鎖、撤退を行う企業も出てきました。中国からみてオフショア開発の最大顧客は日本ですので、これもやむを得ない結果ではあります。

多くのオフショア開発企業は、これまで日本市場向け100%で事業展開してきた方針を見直しせざるを得ず、中国国内市場に目を向け始め、生き残りを図ってきたというのが実態だと思います。

私個人的には、リーマン・ショック後、オフショア開発はなくなることはないにしても、従来のような右肩上がりは期待できず、横ばいで推移し、多くのオフショア開発企業は中国国内のソリューションビジネスに事業シフトしていくものと予測していました。


しかし、ここに来て、また状況が変わってきたように感じます。
下記のグラフを見てください。


2009年はリーマン・ショックにより、市場規模が縮小しましたが、2010年には復活、再び1000億円ラインに達した模様です。

情報処理推進機構(IPA)が行った調査によれば、71.1%のSIer(過去、オフショア開発の実施実績があるSIer)が「現在よりも拡大したい」と回答。一方、過去、オフショア開発を実施した実績がない企業は「積極的に取り組みたい」「実施を検討中」を合わせた回答が24%。これは大きい数値ではないですが2009年の約2倍の数値とのことです。

この調査結果により、今年2011年もオフショア開発はさらに伸びる可能性が高いとしています。※BCN Bizline(オフショア開発市場)より引用。http://bit.ly/mRA8Ky


確かに実務面でも強く感じます。
弊社はオフショア開発コンサルティング会社として、創業8年目を迎え、中国全土800社以上を訪問調査し、各分野ごとに強みを持つオフショア開発パートナー様約60社と提携させて頂いています。

最近、いずれのパートナー様も負荷が高まってきており、
「当面、新たな仕事が入らない」
「アウトソーシングしたい」
「いつもお付き合いしているパートナーさんも技術者が足りず、支援を得られない」
といった声ばかり、耳にするようになりました。この傾向は昨年の国慶節休み(2010年10月)明け以降から顕著になりました。

また、「今年度の売上は昨年度の2倍以上になる見込み」と話す経営者もいます。

しかし、日本は分野により異なるとは思いますが、残念ながら景気回復しているという明るい話題はあまり聞くことができません。それにも係わらず、オフショア開発の需要が復活しつつあるという、今までにない、不思議な現象が起きているように思います。

ひょっとしたら先の東日本大震災の影響により、リスク分散という意識が働いているやもしれません。あるいはさらなるコスト低減という切実なる市場の叫びなのかもしれません。


しかし、オフショア開発は今後も順風満帆、右肩上がりとは限りません。従来、多くのオフショア開発企業は、拡大志向一本でやってきたものの、2009年以降、経営者の意識はだいぶ変わってきていると思います。人民元の切り上げ問題や物価上昇、人件費の高騰等、リスクヘッジしておくべき課題も少なくありません。

現在、こういった課題を抱えながらも、発注者も受注者も、守りから攻めに転じつつある段階ではないかと思います。今後の動向もとても気になります。しっかりと見ていきたいと思います。


末富 昌幸

末富 昌幸
http://www.jp-snic.com/

SNIコンサルタンシー(上海聶欣信息諮詢有限公司)総経理
日本電気株式会社入社後、1995年よりNECグループの中国オフショア開発推進・拡大業務に従事。2004年1月独立、中国上海に渡り、同年3月、SNIコンサルタンシー(上海聶欣信息諮詢有限公司)を設立、同社総経理に就任。中国全土20都市、800社以上のソフトウェア会社を訪問調査(新規パートナー開拓)し、各種業務アプリ系はもちろんこと、組込み系、制御系、ミドルウェア系、ウェブ系、スマホアプリ系や、さらには回路設計等、ハード設計から中国現地生産ラインの立ち上げまで、各分野ごとに強みを持つオフショア開発パートナー約60社と提携。日本企業様への中国オフショア開発コンサルティング事業を開始。その他、日本企業様の中国市場進出コンサルティング(販売サポート、販売チャネル構築等)や上海近郊の日系企業様向けのITソリューションサービス(発注先パートナー選定サポート、パッケージ選定サポート等)等、各種サービスで事業展開中。

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