なぜ中国人は「面子」(メンツ)を大切にするのか?


 中国人はなぜ「面子」(メンツ)を大切にするのでしょうか?このコラムでは今回からシリーズでこのテーマを徹底的に考えてみたいと思います。

 「面子」に対するこだわりは日本人が想像する以上です。中国人は「面子」を潰されることを極端に嫌います。「有面子」(面子がある)、「没有面子」(面子がない)といった言葉をよく使います。「給面子」(私の顔を立てて・・・)、「譲他面子」(彼の顔を立てる)といった言い方や「不給我面子」(私の面子を潰す)、「愛面子」(面子にこだわる)、「不要面子」(面子を捨てて・・・)、「他譲我没有面子」(彼は私の面子を潰した)など。中国語でもよく使われる言葉です。

 日本語にも「顔を潰す」、「顔を立てる」、「体裁を保つ」、「世間体を失う」といった言葉があります。しかし、「面子」(メンツ)という言葉もすでに日本語として一般的に使われる言葉になっています。「面子」はもともと中国から伝わった外来語です。しかし、「面子を立てる」とか「面子がない」とか、日本でも一般的に広く使われる言葉になりました。

 言葉の意味や言葉の使い方は、日本語でも中国語でもほぼ同じです。日本人にとっても面子を潰されること、つまり、恥を欠かされることは嫌なものです。人前で恥をかかされたり、「面子」を潰されたりすることを嫌います。

 しかし、日本人と中国人とでは決定的に大きな違いがあります。この決定的な違いとは、「面子」という言葉を使うときの「深刻さ」です。たとえば、中国人が「面子を潰されたというときは、日本人の想像を遥かに超えた深刻な状況になっているはずです。もちろん、人によって違いがあり、物事の程度差によっても違いがあるかもしれません。

 しかし、「面子」を潰された中国人は、日本人が想像するよりも極めて深刻な事態に陥っているはずです。もし、あなたが相手の面子を潰してしまったとしたら、あなたには理解できないほど深刻な打撃を与えているのです。不用意に面子を潰すような言い方をしてしまうと、後で取り返しのつかない事態になってしまうことがあるので要注意です。

 仮に、不注意で相手の面子を潰してしまうようなことを言ってしまったとします。しかし、「そんなに深刻に受け止めるなよ」とか「軽い冗談のつもりで言っただけだよ」という言い訳は通用しないのです。せっかく一歩ずつ築き上げてきた人間関係であっても、不用意なひと言が原因で「振り出しに戻る」になってしまうかもしれません。「水に流して」や「心機一転」、「新たな気持ちで」、「気持ちを切り替えて」は中国では通用しないと思っておいたほうがいいでしょう。潰された彼の「面子」は相当深刻な状況にまで陥っているはずです。

 中国人はなぜ「面子」(メンツ)を大切にするのでしょうか?このコラムではテーマを徹底的に考えてみたいと思います。なぜなら、「面子」を理解することは中国人理解には不可欠。中国人の「面子」を理解することが中国人理解の「近道」とも言えるのではないでしょうか。


吉村 章

吉村 章
http://www.ippc.biz/default.aspx

ASIA-NET 代表
Taipei Computer Association(TCA) 東京事務所 駐日代表
NPO法人アジアITビジネス研究会 理事
独立行政法人中小企業基盤整備機構 国際化支援アドバイザー

◆アジアに進出する日本企業を支援するため現地視察やビジネスマッチング、技術アライアンスのサポートなどが主たる業務。1987年~1996年の台北駐在後、2001年からは本格的に中国に進出する日本企業の支援に取り組む。◆中国・台湾をはじめ現場でのヒアリングは延べ400社。徹底的に現場を回ることにこだわり、具体的な中国進出の事例やアライアンス事例から中小企業にとっての中国ビジネスの課題を考える。◆2003年からは自身の海外進出の経験やノウハウを体系化した『アジアビジネススキルアップ研修』を実施。異文化理解を基本としたDo‘s&Dont’sプログラム(海外進出の際の禁止事項、禁止フレーズ、注意フレーズなど)や参加体験型の研修内容には定評がある。http://www.asia-net.biz/20-0.pdf ◆2012年からは現地視察の注意点、展示会出展のノウハウ、自己紹介のテクニックや通訳を使いこなすテクニックなどをプログラムに取り入れた『海外市場開拓セミナー<実践講座>』を提供。各地の商工会議所や地方銀行などで採用されている。http://www.asia-net.biz/20-0.pdf ◆著書に「中国人とうまくつきあう実践テクニック」、「中国人との実践交渉術」(総合法令出版)、「知識ゼロからの中国ビジネス入門」幻冬舎、他。

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