メディアは公平か

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いま世界中のメディアが、東北各地の被災状況と福島の原子力発電所のニュースを追っている。こと原発に関しては悲観的な見方がほとんどらしく、それを聴いた人々が、日本中が危険であるかのように思ってしまうのもやむを得まい。実際、身近なところでは、今すぐ逃げろ、と言ってくれた友人も居るし、航空会社の乗務員が成田便の勤務を拒否したとか、中国では日本からの航空貨物を、放射能が規定値を上回っているとの理由で(規定値と測定値は誰も言わない)その荷下ろしを拒否した、という事態が発生している。東京に住む我々の感覚では、「ちょっと大げさ過ぎないか・・・」とか、「そこまで反応するかよ~!?」とあらためて知らされる思いになる。

では、次のような報道はあるでしょうか。

「北海道では大勢の家族連れがスキーを楽しんでいる」
「大阪のおばちゃんは、いつもの調子で買い物をしている」
「九州では、子供は普通に屋外で遊び、学生は普通に学校に通い、会社員は普通に通勤している」

ないでしょうね。この3つはいずれも事実です。でもそんな報道はないでしょう。

なぜこんなことを言うかというと、2005年、上海を始め中国各地で反日暴動が起きた時の、メディアに対する反応を思い出したからだ。 曰く、
「暴動に加わっているのはほんの一部でしかないのに・・・」
「○×△(市内のエリアの名前)のショッピング街では、普段と何も変わらないのに・・・」
「日本のメディアは大げさで不公平だ!」
「いつも中国の悪いことしか言わない!」
などなど。

中国人がそう言うのならまだしも、日本人でもそれに加わった人が大勢いたでしょう。実際、その頃東京で行われたある中国投資セミナーの来賓(日本人)が、「日本のメディアは極めて不公平であります!」と挨拶していて、私は少々面食らった。

その方を始め、あの時、日本のメディア大げさ論と不公平論に肩入れしていた人は、今こそ声を大にして言ってほしい。

「本当に危険なのはごく一部の地域だけだ!」
「普通の日常生活が営まれていることを、なぜ報道しないのか!」
「中国のメディアは大げさである!」
「世界中のメディアは不公平である!」
言わないでしょうね、きっと。

そもそも、メディアは非日常的な事象を取り上げたがる。それは彼らの宿命だ。ある事象を、非日常さの度合いに応じて取り上げ方を変えること、公平とはそういうことだ。つまり、とてつもなく非日常的であればそれだけ大きく報道し、毎日繰り返される日常なら全く取り上げない。当たり前だと思う。

だからこそ、この危機が去って普段の日常生活が戻ったら、我々は声を大にして言わなければならない。

「日本は安全である」
「日本は魅力的である」
「日本への旅行も留学も大歓迎」
「日本への投資も大歓迎である」

と。

井上 一幸

井上 一幸
http://www.asiastar.co.jp/

アジア人財カンパニー株式会社 代表取締役
昭和61年 開成高校卒業
平成2年 東京大学経済学部卒業
日本生命保険相互会社で約8年勤務ののち、海外留学、海外勤務。帰国後の外資系勤務を経て、平成14年から香港経済貿易代表部投資推進室室長。
平成18年から現職。アジア人財オフィスワーカーの人材紹介と「ワンランク上の日本語」研修をスタート。
TOEIC 980点(平成21年)、日本語教育能力検定試験 合格(平成21年)

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