貨物貿易輸出収入を中国国外に預けることに関する管理実験弁法 に関する解説

Tweet!retweet


「貨物貿易輸出収入を中国国外に預けることに関する管理実験弁法」
公布日:2010年8月27日
施行日:2010年10月1日
公布機関:国家外貨管理局


従前、中国国内の企業は、貨物貿易を輸出することによって獲得した収入について、これを中国国内の口座に預けなければならない、とされていた。しかし、2008年8月5日改正の「中華人民共和国外貨管理条例」13条では、企業は、経常項目(いわゆる貨物貿易取引及びサービス貿易取引)に基づく外貨収入について、国の関連規定に従ってこれを留保することができる、と定められている。このため、中国国内の企業は、経常項目に基づく外貨収入を、同企業が中国国外の銀行で開設した銀行口座に預けることができるようになる、と期待されている。ただし、当該改正後の管理条例の施行後の2年間ほど、中国国内の企業が経常項目に基づく外貨収入を外国の銀行口座に預けることに関する実施細則が公布されなかったため、実際にこのような取り扱いを行うことができていなかった。

一方、中国国内の企業は、外貨収入をより効率よく利用し、輸出入貿易の支払を便利化するよう求める声が高まっている。これを受けて、国家外貨管理局は、2010年8月27日に、貨物貿易輸出により獲得した収入の取り扱いについて「貨物貿易輸出収入を中国国外に預けることに関する管理実験弁法」(以下、「本実験弁法」という)を公布した。
「本実験弁法」からすると、中国国内の企業は、貨物貿易輸出により獲得した外貨収入を、同企業が中国国外の銀行に開設した銀行口座に預け、この外貨収入をもって国家外貨管理局が容認する外貨支出を行うことができるようになった。
「本実験弁法」の主要内容については、次の通り解説する。

1.中国国内の企業が具備しなければならない条件について
中国国内の企業は、貨物貿易輸出により獲得した収入を中国国外の銀行口座に預けるために、次の条件に満たさなければならない(「本実験弁法」4条)。
(1) 輸出入規模が比較的に大きく、輸出収入を中国国外に預ける真実な需要があること。
(2) 財務状況が良好であること。
(3) 最近2年間で外貨管理規定に違反したことがないこと。
(4) 誠実信用の記録が良好であること。
(5) 中国国内の企業が企業集団である場合には、中国国内において資金を集中に収支する又は管理する経験及び条件を有しなければならないこと。
(6) 国家外貨管理局及びその分支機構が規定する他の条件

2.銀行口座の情報報告制度について
中国国内の企業は、貿易輸出収入を預ける中国国外の銀行口座の開設を申請する前に、中国国外の口座開設銀行及び中国国内の報告銀行を選定し、これらの銀行と「口座収支情報報告送付合意書」を締結しなければならない。この合意書については、国家外貨管理局が制定した書式を利用しなければならない。中国国内の報告銀行は、当該合意書の規定に従い、中国国外の口座開設銀行から提出された中国国内の企業の口座の収支情報を所轄の政府外貨管理部門に報告しなければならない。
また、中国国内の企業は、中国国外の口座に関する収支情報について、少なくとも毎月1度にこれを所轄の政府外貨管理部門に報告しなければならない。

3.中国国外の銀行口座に預ける金員の収支範囲について
(1)「本実験弁法」に基づいて開設された中国国外の銀行口座に預けられる収入の範囲には、次の項目が含まれる。
①輸出収入
②口座資金の利息
③政府外貨管理部門が認可した他の収入

(2)「本実験弁法」に基づいて開設された中国国外の銀行口座に預けられる収入を支出することができる費用の範囲については、次の項目が含まれる。
①貨物貿易に基づく支出
②コミッション料金、運賃・保険料等の貿易に付属する費用の支出、中国国外で工事を請け負うことに基づく費用の支出
③銀行の日常管理費用の支出
④政府外貨管理部門の承認又は登記を経た資本項目(海外投資等)に基づく支出
⑤中国国内に資金を戻すこと
⑥政府外貨管理部門が規定する他の支出

4.関連資料の保存について
中国国内の企業は、「本実験弁法」に従い中国国外の銀行口座を開設する場合、政府外貨管理部門の検査を受けることに備えて、同口座の収支に関する取引契約、証憑等の文書資料を5年間で保存しなければならない。

丁 恒

丁 恒
http://www.tsuyuki-lawoffice.com/

露木・赤澤法律事務所 中国弁護士
天津外国語大学日本語学部・中国人民大学法学院を卒業後、司法試験合格。北京市金杜法律事務所に入所。その後、丸紅株式会社法務部出向を経て2010年5月から露木・赤澤法律事務所入所。2011年1月〜2011年9月、豊田通商株式会社法務部出向中。外商投資企業の設立・変更、M&A、不動産投資、独占禁止法問題、現地法人の日常運営に係る法的問題(労働問題、外貨管理問題及び経営範囲問題等)及び外商投資企業解散清算をはじめとする対中投資法務及び紛争解決に携わっております。
執筆:「研究開発に関わる中国ビジネス・トラブル事例(第12回)-中国におけるバーチャル財産侵害事件 -」 (「研究開発リーダー」平成20年5月号掲載)
講演:国際商事法研究所、企業法務実務研究会、GBL研究会で講演複数。

特集のコラムニスト 次のコラムニストもチェックしてみて下さい

ホットワード:春節(旧正月) 微博 社会保険 タオバオ

現在の記事掲載数:2,357件  <メルマガ登録>

新着記事
アクセス上位・人気記事
PR
  • RSS
  • Twitter
  • 寄稿者一覧
  • 寄稿者の著書一覧
  • セミナー