2010年9月からAlipay国際決済ができなくなる?

Tweet!retweet


新華社通信などによると、中国人民銀行(中央銀行)は2010年06月21日、「中国人民银行令〔2010〕第2号 非金融机构支付服务管理办法(非金融機関の決済サービスに関する管理弁法)」(以下「本法」)を発表し、Alipayをはじめとする第三者決済サービス企業に対し2011年9月1日までに「決済事業免許証」の取得を義務付けました。リクエストをいただいたのでこのテーマについて少し書きます。尤も、私は弁護士等ではありませんのであくまで参考意見としてご覧ください。

本法の対象になる業種はオンライン決済、プリペイド決済、銀行カードの代理取得等を銀行以外の企業が行うもの。現在公開されている資料を見る限り、「決済事業免許証」の取得条件は下記のようなものです。

・資本金の下限は全国で決済事業に携わる企業で1億(日本円で約13億円)、一地域限定の場合で3000万元(日本円で約3.9億円)
・金融機関向け情報処理サービスを2年以上展開し、2年以上利益を計上していること
・事業、株主、運営体制等に関する資料の提出
・過去3年間処罰を受けていないこと

これらの規制により、現在300社程度あると予想されるノンバンク決済サービスは、「支付宝」、「財付通」などの大手数社を除いて事業の継続が困難になると予想されています。

2008年1Q中国第三者決済シェア(出典:中国经济网)

2008年1Q中国第三者決済シェア(出典:中国经济网)



本法の原文は下記をご覧ください。(中国人民银行)
http://www.pbc.gov.cn/detail.asp?col=100&ID=3666

日本語での解説はこのあたりが詳しいように思います(新華社)
http://www.xinhua.jp/socioeconomy/economy/255689/

なお、本法第4条等において第三者支決済サービス同士での資金の移動を禁じ、銀行への資金移動の委託を義務付ける記述があります。

第四条 支付机构之间的货币资金转移应当委托银行业金融机构办理,不得通过支付机构相互存放货币资金或委托其他支付机构等形式办理。

(概要和訳:委託資金の送金にあたっては金融機関に振替を委託しなくてはならない。非金融機関決済サービス相互で支払いの委託等を行ってはならない。)

これによって海外への送金、たとえばAlipay→日本の決済サービス、のような取引についても影響があるのではという質問をいただきました。現在のところ、私はこの取引ができなくなることはないだろうと見ています。理由は、法律の趣旨が実体のあるモノや資金の移動を伴わない形(ポイント交換など)で仮想通貨が移動し、マネーロンダリングや違法な使途に用いられることをを防ぐものであり、上記を制限することはその目的から外れるからです。また、これから更に貿易黒字を解消せよ(海外で金を使え)と催促される立場にある中国政府が、海外との正常な貿易行為を制限することはメリットがありません。

また、例としてAlipayの国際決済サービスの場合、下記のような送金フローを取ることになります。

Alipay国際決済における資金と購入物品の流れ



このように、通常中国から日本へ資金を移動するには実質的に一旦銀行等の金融機関に送金を委託をしなくては中国国外の業者は売上を回収することができないため、少なくともAlipayを提供している企業の多くは第4条の規制対象とはならないと予想されます。

百瀬 道子

百瀬 道子
http://www.multilingualcart.com/

WIPジャパン株式会社 シニアコンサルタント

大学卒業後、印刷会社、出版社を経て独立。Webサイトの受託開発をしながら2006年に2言語対応ネットショップASP「バイリンガルカート」、2007年に多言語対応ネットショップASP「マルチリンガルカート」をリリース。2008年に同事業をWIPジャパンに譲渡。現在もマルチリンガルカートの開発・運営を行う。国境を超えて取引ができるサービスが、世の中にどのような影響を与えられるかを探求中。「中国のEC市場はポテンシャルは大きいが難しい市場です。中国でのECの可能性や課題についてお話しします。」
※なお、このコラムは個人的見解であり、所属組織のものではありません。

特集のコラムニスト 次のコラムニストもチェックしてみて下さい

ホットワード:春節(旧正月) 微博 社会保険 タオバオ

現在の記事掲載数:2,357件  <メルマガ登録>

新着記事
アクセス上位・人気記事
PR
  • RSS
  • Twitter
  • 寄稿者一覧
  • 寄稿者の著書一覧
  • セミナー