中国における日本人駐在員の個人所得税の納付方法


 現在、日本企業がその中国現地法人に日本人駐在員を派遣するケースが多く、これらの日本人駐在員が日本本社と中国現地法人からそれぞれ一部ずつ賃金をもらっていることが多いですが、この場合、中国でどのように個人所得税を納付すべきでしょうか?

 中国で個人所得税を納付する必要があるか否かについて、日本人駐在員の1月1日から12月31日までの1年間における中国での滞在期間を計算し、検討する必要があります。

(1)年間滞在期間が183日以下の場合、中国現地法人が支給した給与は、中国で個人所得税を納付する必要があります。なお、日本本社が支給した給与は、中国で個人所得税を納付する必要はありません。

(2)年間滞在期間が183日を超え1年未満の場合、中国での勤務に関わる収入(中国現地法人が支給した給与+日本本社が支給した給与)は、中国で個人所得税を納付する必要があります。なお、中国での勤務とは関係なく日本本社が支給した給与は、中国で個人所得税を納付する必要はありません。

(3)滞在期間が1年以上5年未満の場合、中国での勤務に関わる収入のほか、外国での勤務とはいえ中国現地法人が支給した所得も、中国で個人所得税を納付する必要があります。

(4)滞在期間が5年以上の場合、全世界からのあらゆる収入(日本での家屋を賃貸し取得した賃貸料など)が中国で個人所得税を納付する必要があります。

  実務では、日本本社または中国現地法人が、日本人駐在員のために日本で保険に加入し保険料を納付するケースがよくあります。この場合、日本で納付する保険料は、日本の法律に基づき、企業が納付しなければならない法的義務を負うものの場合、中国の税務機関から許可を受ける前提で駐在員が中国で個人所得税を納付する必要がありませんが、これ以外の保険料はすべて駐在員の収入とみなされ、駐在員が中国で個人所得税を納付する必要が生じます。

  実務上よく見受けられる海外旅行傷害保険は、企業が従業員のために加入しなければならない法的義務を負う保険ではなく、企業が任意に加入する保険に該当するため、駐在員が当該保険料を個人の収入として中国の税務当局に申告し、個人所得税を納付する必要があります。

  また、中国の個人所得税の課税率が高いため、実務では、日本人駐在員の給与を手取り給与とし、中国現地法人がその納付すべき個人所得税を負担するケースも少なくありません。この場合、中国現地法人が負担した個人所得税も日本人駐在員の所得として、個人所得税を計上することとなります。


韓 晏元

韓 晏元
http://www.runminglaw.com/

韓 晏元(かん あんげん)北京市潤明法律事務所 パートナー弁護士
神戸大学 博士(法学) 日本の法律事務所研修を経て、2004年北京市金杜法律事務所入所、2008年にパートナーとして北京市潤明法律事務所参画。取扱分野:外商直接投資、企業買収、企業清算、債権回収、人事労務等、日本企業の中国ビジネスに関連する企業法務全般。
著作:『中国のビジネス実務 債権管理保全回収 Q&A100』(共著、日本第一法規株式会社、2010年)、このほか、「The Daily NNA(中国総合版)」、「みずほ中国 法務・税務・労務ヘッドライン」、「人民日報ネット版(日本語版)」などで多数の論文掲載あり。

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